受け継がれる宝石のように女性の人生に寄り添う
2023年に誕生した、シャネルの「トランテアン ル ルージュ」に、今秋ルミナス マットな質感の12色が新たに加わります。このリップを特別にしているのは、シャネルのクリエイションが生まれるカンボン通り31番地にある鏡張りの螺旋階段に着想を得た美しいガラスケースです。
デザイン制作を率いるシルヴィさんは「私たちシャネルは、たくさんのリップスティックをこれまで生み出してきましたけれども、その中でも最もラグジュアリーなリップスティックを世に出したいというふうに思いました。トランテアン ル ルージュは、プレシャスなオブジェのような存在でありながらリフィラブル。そんな母から娘へ引き継がれるほどの価値のあるものを作ろうと思いました」と開発にかけた歳月を振り返ります。
©シャネル
お話を伺った方シャネル パッケージ・グラフィックデザイン制作責任者シルヴィ・ルガストゥロワさん デザインスクール、ブリュッセルの装飾絵画学校で学んだのち、1984年にシャネル社に入社。1993年、シャネル社の香水・化粧品部門、時計・宝飾部門において、当時アートディレクターをつとめていたジャック・エリュにより、パッケージ・グラフィックデザイン制作責任者に抜擢される。以来、約30名のチームメンバーを率いて「シャネル N°5」のボトルのデザイン変更をはじめ、「プレシジョン」「アリュール」「チャンス」「ルージュ アリュール」などの大型プロジェクトを手がけている。近年は、「ココ ヌワール」「シャネル N°5 ロー」をこの上なく洗練されたスタイルへと完成させた。
「透明度が高いほど中身が際立つ」と、ノーブルなガラスという素材の魅力を語るシルヴィさん。「デザイナーにとって手強くもあり、またこのリップを手にしていただくとわかるのですが、持った瞬間は冷たい感触ですが、少しずつ温かくなる。ずっと触っていたくなるような、有機的で生き生きしているところも気に入っています」。
光を完璧に反射する透明感と耐久性を備え、またメタルパーツと結びつける困難な作業は、日本の技術が可能にしたのだそう。
ガラスとメタルが融合したパッケージは、プラスチックのパーツを完全に取り除いたのもの。“エココンセプション”に配慮したプロダクトが完成した。©シャネル
「環境に配慮するという企業の社会的責任も、私とっては、チャンスであると考えています。デザイナーは新しいことに取り組まねばなりませんが、だからこそ、20年前だったら考えてもみなかったようなデザインが生まれる。挑戦する勇気が10倍になるということもあるわけです。
使い終わったら、リサイクルもしていただけますし、宝石のように作りたいというふうにデザインしましたので、長年持っていただいて、娘さんに受け継いでいただけたら、それは誇れるものです。この口紅というオブジェが自信や喜びを与え、女性を力強くサポートできることを嬉しく思います」
カンボン通りに建つガブリエル シャネルのアパルトマンへと続く螺旋階段。ガブリエル シャネルは鏡が張り巡らされた階段の踊り場で、ショーを見守っていたという。©シャネル
トランテアン ル ルージュのテストパッケージを特別に見せてくださったシルヴィさん。初期のデザインでは、シャネルのコードであるゴールドメタルのリフィルを採用していたそう。「鏡の螺旋階段とは、少しイメージが異なりましたね」。©シャネル
[今月の逸品]
シャネル
トランテアン ル ルージュ
カンボン通り31番地を彩る歴史から誕生した新12色は、光をはらんだソフトマットな質感が魅力。洗練の発色で唇を染め上げます。「日によって違う色をつけてみてください。リフィルをケースにセットするときの、心地よい感触も楽しめるよう設計しています」とシルヴィさん。ガーデニア オイルが配合されたフォーミュラは、豊かな潤いで唇を包み込み、なめらかで、ハリのある唇へと導きます。
写真右から、18(レッド オレンジ)、19(ルミナス オレンジ レッド)、17(レッド ブラウン) 各2万5300円、リフィル1万1550円 全12色(店舗限定発売中)
お問い合わせ/シャネル カスタマーケア TEL:0120-525-519