連載「雨のことば」10月 蕭雨(しょうう)
文=矢部太郎(お笑いタレント・漫画家・気象予報士)
蕭雨とは、音もなく、もの寂しく降る秋雨のこと。蕭はもの寂しいという意味。
夏の日差しが去って北から冷えていく秋。しとしとと降る雨こそ、傘をささずにいると、細かい雨が沁み込んで、気がつけばしっかりと濡れているものです。寂しさも、いつしか心に沁みわたってしまうように。
佐賀県唐津市や宮崎県日向ではそんな霧雨のことを、繊細でやわらかな猫の毛に例えて、猫毛雨と呼ぶそうです。
秋は何事も切なく感じてしまう季節。心にも沁み込むような寂しい雨も、空に大きな猫がいて毛繕いをしている……なんて思い浮かべると少し心があたたかになるかもしれないですね。
この時季の雨のことば猫毛雨(ねこんけあめ)
霧雨(きりさめ)
鷹渡り(たかわたり)
秋入梅(あきついり)
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