〔特集〕最高の宿、感動のホテル 世界からも高評価を受けている、日本の宿とホテル。そこには、日本が誇る“おもてなし”の文化が息づいています。自然の中のリトリート、五感を刺激するアートなホテルや心と体を癒やすウェルネスのホテル、土地の恵みをいただく美食の宿など、家庭画報が取材し厳選した宿とホテルを、最新情報とともにご紹介します。
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この宿の名物料理を目指して
その土地ならではの食材や郷土の味に出合えるのは、旅の醍醐味。足を延ばしてでも食べに行きたい「名物料理」がある宿8軒をご紹介します。
滋味溢れる秋田の食材を使った洗練の盛り込み料理
角館山荘 侘桜(秋田・仙北)
写真/鈴木一彦
みちのくの小京都・角館にほど近い里山に佇む、築200年の茅葺き古民家の宿。“からだにおいしい料理”を掲げ、ミシュランレストラン出身の矢部義春料理長が、秋田の滋味溢れる食材で作る盛り込み料理が評判です。
秋には新米やきのこを使った郷土料理の「きりたんぽ鍋」が出されることも。土地の味を洗練させ、季節を映した純日本料理が楽しめます。
●秋田県仙北市西木町門屋字笹山2-8/TEL:0187(47)3511
ずわい蟹と香箱蟹──地元が誇るブランド蟹を堪能
あらや滔々庵(石川・山代温泉)
写真/本誌・坂本正行
現在18代を数える老舗旅館でありながら、時代の潮流に合わせて進化を遂げてきた「あらや滔々庵」の冬のお楽しみは、石川県で水揚げされたブランド蟹「加能蟹」。
なかでも地元・橋立漁港産ずわい蟹と香箱蟹は別格とされ、豊潤な甘さの身と濃厚なみそが特徴です。
蟹尽くしコースだけではなく、懐石をベースに炭火焼きやゆで蟹を組み合わせるスタイルも近年人気が高まっているとか。上の写真は、土佐酢のジュレがきいた香箱蟹。
●石川県加賀市山代温泉18-119/TEL:0761(77)0010
信州里山の恵みをあつあつの揚げたてで味わう
緑霞山宿 藤井荘(長野・山田温泉)
幽玄な松川渓谷に抱かれる「藤井荘」は、かつては森鷗外や菊池寛などの文人墨客にも愛された老舗旅館。
地元・高山村で採れた旬の野菜や山菜を一口サイズにして串に刺し、揚げたてをいただく特製オイルフォンデュ「ぽんぽん鍋」は、宿きっての名物料理。シンプルだからこそ素材のうまみが感じられます。食事は個室もしくは風情ある御簾(みす)席で。
●長野県上高井郡高山村山田温泉3563/TEL:026(242)2711
眼前の琵琶湖を眺めながら味わう、熟成ふなずし
湖里庵(滋賀・マキノ)
天明4(1784)年創業のふなずしの名店「魚治」が営む料理旅館「湖里庵(こりあん)」。ふなずしは冬から春に獲れたにごろぶなを塩漬けにし、ご飯とともに乳酸菌発酵させた滋賀伝統の保存食。
通常は数か月で食べられるところを2年間低温熟成させて作るため、深みのある味わいになります。
「甘露漬」 写真/masaki ozaki
天ぷらやお茶漬け、甘露漬にしたり、チーズのように用いてパスタソースにしたりと独自のアレンジも楽しめ、コースではびわますやもろこなどの新鮮な湖魚も味わえます。
●滋賀県高島市マキノ町海津2307/TEL:0740(28)1010
往年のファンも多いクラシカルな「海の幸フランス料理」
志摩観光ホテル(三重・伊勢志摩)
「鮑ステーキ ブールノワゼットソース」
古来、美(うま)し国、御食国(みけつくに)と称されてきた自然と食材の宝庫・伊勢志摩で、美食のホテルとして名高い「志摩観光ホテル」。
なかでもレストラン「ラ・メール ザ クラシック」の「鮑ステーキ ブールノワゼットソース」は、肉厚な鮑を焦がしバターのソースでいただくスペシャリテ。鮑を大根とともに煮込むことで、絶妙な柔らかさに仕上げています。
「伊勢海老アメリカンソース」
注文を受けてから活け伊勢海老を調理する「伊勢海老アメリカンソース」もホテルを代表する一品。
●三重県志摩市阿児町神明731/TEL:0599(43)1211
とらふぐ尽くしのフルコースで山口の冬を満喫する
大谷山荘(山口・長門湯本温泉)
創業1881年。山口屈指の名宿であり、近年リニューアルした露天風呂・プライベートサウナ付き客室も評判の「大谷山荘」で、これから旬を迎えるのが、山口の冬の風物詩、ふぐ。
9月末の初競りの後、10月~翌年3月までの期間限定で提供される「とらふくフルコース」は、ふぐの弾力ある歯ごたえとうまみ、甘みを楽しめる「ふく刺し」、ジューシーな「ふく唐揚げ」、あらのだしがきいた「ふくちり」、締めの「ふく雑炊」など、さまざまな調理方法でふぐを味わえます。
●山口県長門市深川湯本2208/TEL:0837(25)3300(9時~17時)
宮島の名物弁当「あなごめし」を炊きたてでいただく
庭園の宿 石亭(広島・宮浜温泉)
日本三景の一つとしても名高い宮島の対岸にある「庭園の宿 石亭」。その母体は明治34(1901)年創業の老舗「あなごめしうえの」で、宮島近海で獲れたあなごを炊き込んだご飯は、開通したばかりの宮嶋駅で駅弁として販売され、評判を呼んだといいます。
石亭では、瀬戸内の魚介をふんだんに使ったコース料理の締めに、あなごの釜炊き飯を提供。あつあつのおいしさが味わえるのは宿の醍醐味です。うえのの「あなごめし弁当」はお土産として購入可能。
●広島県廿日市市宮浜温泉3-5-27/TEL:0829(55)0601
洋のエッセンスが光る鯛塩釡焼きは、お祝い旅行にも
旅亭 半水盧(長崎・雲仙温泉)
写真/本誌・坂本正行
緑豊かな雲仙国立公園内に、京都の宮大工による数寄屋造りの客室と庭を備えた「旅亭 半水盧」では、九州の山海の幸を用いた雅な本懐石が部屋食で楽しめると人気です。
「鯛塩釜焼き 栄螺(さざえ)パイ包み焼き、さつま芋、レモンと」は、ビジュアルも目を引く名物料理。
歴代の料理長全員に仕え、それぞれの料理への向き合い方を学んできた現・総料理長の本多光一さんならではの、洋のエッセンスや遊び心が感じられます。焼き固めた塩を割るセレモニーも好評。
●長崎県雲仙市小浜町雲仙380-1/TEL:0957(73)2111
(次回へ続く。
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※本特集内に記載している料金は原則として1室2名利用時の、1泊朝食付き、または2食付き1名の最低料金です。時期や部屋により宿泊料金は変わります。別途サービス料、入湯税、宿泊税などがかかる場合があります。INはチェックイン時間、OUTはチェックアウト時間を表しています。時期により料理内容が変更になる場合があります。