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「京」一文字で「かなどめ」と読む“難読”名字。そのルーツはいろはカルタ?

2024.11.04

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墨アート製作/越智まみ

名字365 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。連載一覧はこちら>>

難読名字:京(かなどめ)

「京」という名字そのものも珍しいのですが、その大多数は漢字の読み方通り「きょう」と読みます。全国に点々と分布し、とくに秋田県能代市に集中しています。もとは「京屋」と号していた商家が、戸籍に名字を登録する際に「屋」をとって「京」で登録したものが多いと思われます。

ところが、熊本県には「京」と書いて「かなどめ」と読む難読名字があります。

戦前のカルタは五十音順ではなく、いろは順で作られていました。そして、この「いろはカルタ」には大きく江戸、上方、尾張の3種類があり、読み札に書かれている言葉(ことわざなど)が違っていたのです。


たとえば、江戸カルタでは最初の「い」の読み札が「犬も歩けば棒にあたる」だったため、通称「いぬぼうカルタ」ともいわれました。一方、上方カルタの「い」は「一寸先は闇」、尾張では「一を聞いて十を知る」と地域差がありました。

そして、いろは47文字の最後「す」のあとに、江戸カルタでは「京の夢 大坂の夢」、上方カルタでは「京に田舎あり」と書かれた「京」という札がありました。

このことから、「かな」の後ろにある「一番最後(とめ)」という意味で、京を「かなどめ」と読ませているのです。

森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。

墨アート製作 書家・越智まみ(https://esprit-de-mami.com/

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