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紬織を芸術の域に昇華させて──人間国宝・志村ふくみ「いのちの色よ、永遠に」【後編】

2024.10.11

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『家庭画報』と共に世界を旅して

娘の洋子さんと共に都機(つき)工房を発足させたふくみさんは、1990年、重要無形文化財「紬織」保持者に認定されます。1993年に文化功労者にも選ばれますが、伝統工芸の枠に縛られない新たな創作活動をしたいという思いから、1994年には日本工芸会を脱会。

2000年になると、『家庭画報』本誌の取材で、母娘で世界の染織の美を訪ねる旅に出かけるようになります。正倉院に伝わる美の源流を知りたくてイランを訪ね、ペルシャ美術に触れたり、韓国の文化人との深い交流がきっかけで、現地でも貴重な文化財を取材したり。

2000年1月号と2月号でイラン各地を旅したふくみさん。モスクの美しい壁画に魅了されました。

イランでは、胡桃(くるみ)の染色窯で、日本から持参した絹糸の染色をしました。

2000年11月号、12月号と、2号連続で韓国の美を訪ねる旅に。韓国の重要文化財に指定されている来蘇寺(ネソサ)の秘蔵品を訪ねています。

また、2001年には、日本各地に根差す染織文化を訪ねる連載もスタート。伊勢神宮、高野山、厳島神社、春日大社に毛越寺……。


2001年、日本各地の染織の美を訪ねる連載の第1回は伊勢神宮へ。皇大神宮に参拝する前に、五十鈴川の御手洗場で身を清めるふくみさん。天蚕のきものを上に纏って。

弘法大師が唐より日本に初めて持ち帰った曼荼羅の色と美を訪ね、2001年2月号では高野山へ。ご住職に寺宝の両界曼荼羅を見せていただくふくみさんと洋子さん。

「旅の間ずっと、五感を開放させ、神経は緊張させ、四囲に瞳をこらしていた。どこに行っても、何に心をふるわせても、常にそこには人がいた。人なくしては旅の思い出も、余情もなく、記事にのせることさえできない」とふくみさん。

家庭画報本誌と共に歩んだ壮大な旅の記憶は、書籍『たまゆらの道』として刊行され、二人の創作活動の大きなエッセンスとなったのです。

撮影/森山雅智 小宮東男 写真協力/都機工房

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