私が一目惚れした、カシミアのダブルフェイスのコートがこちら。さらりと羽織っても絵になる着流しのデザインで、大きなラペルが華やかです。私は肩幅が狭いなで肩なのですが、このラペルだと、それが目立たないのもこのコートを気に入った理由です。コートに合わせたのは、ヘリンボーン柄の半袖のワンピース。美しく広がるフレアースカートが揺れる様がドラマティックで、こんなコーディネートで街を歩いている女性がいたら振り返って見てしまうと思います。
私は、常々「ジャケットは隠れ蓑」だと言っているのですが、ジャケットは体形のコンプレックスを上手に隠しつつ、美しく補正して見せてくれるんです。特にラルフ ローレン コレクションは、一見メンズライクに見えますが、ウエストが絞られていて、纏うと凛とした美しさが薫り立つ、魔法のジャケットなのです。この2着は、あえて裏地を施さず、柔らかな着心地を追求。左のダブルは、薄い肩パッド入りで、肩掛けにしても絵になるグレンチェック柄。右のシングルは、カーディガン感覚で羽織れるソフトジャケット。どちらも、中には曖昧なニュアンスカラーのニットを合わせてリラクシーなムードにコーディネートしてみました。
シグネチャーのRLのキーベルチャームがアクセントになった「RL888」コレクション。NYのマディソンアベニュー888番地にあるレディースのフラッグシップストアに因んで名付けられています。艶のあるフルグレインカーフを使用したトートは、収納力があり、デイリー使いにぴったり。コートやジャケットスタイルに合わせて持ちたいですね。
ジャケットが大好きな私ですが、実は40代前半に、ジャケットを着なくなった時期があります。若い時は自分を格好良く、大人に見せてくれるアイテムとしてジャケットを着ていました。しかし、いざ「大人」になってみると、ジャケットを着ると、ちょっと威圧的に見えるような気がして、お休みしていたのです。50代に突入し、体形が緩んできたな……と思ったとき、再びジャケットを着るようになりました。襟と肩がしっかりとあるジャケットは、体形をカバーし、その人をキリっと端正に見せてくれる「隠れ蓑」だからです。今は、若いころとは全然違う意味合いでジャケットを愛用していますが、ジャケットは迷い世代のマストアイテムだと実感しています。皆さんも、是非上質なジャケットを探してみてください。
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おおさわ千春/Chiharu Osawa
スタイリスト。雑誌のほか、映画の衣装デザインや女優のスタイリングなどを幅広く手掛ける。着る人に合わせた的確なスタイリングやアドバイスは、多くの女優からも信頼を得ている。「迷い世代の服選び」記事一覧>>
撮影/大見謝星斗 編集協力/湯澤実和子