名字365 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。
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北口(きたぐち)
パリ五輪ですっかり有名になった「北口」という名字。マラソン以外の陸上の女子種目で日本人が金メダルを獲得する日がくるとは思いませんでした。
この「北口」という名字、意外と周りにはいないという人が多いかもしれませんが、全国ランキングでは1600位くらいなのでメジャーな名字です。ただし分布にはかなり偏りがあり、大阪府、石川県、北海道の3か所に集中しています。北口榛花選手も北海道の出身です。
さて、「北口」の「北」は方角に因むとして、「口」というのはどういう場所を指しているのでしょうか。
日本では地形を人間の体に例えることがよくあります。「口」とは「入口」という言葉でもわかるように、入っていく所を指しています。つまり何かに対して北側から入っていく場所が「北口」なのです。
北海道の人のほとんどは明治以降に内地から移住した人の子孫で、その名字のルーツは北海道以外にあります。従って「北口」のルーツも道外にあり、現在も「北口」が多い石川県か近畿地方だろうと思います。
森岡浩/Hiroshi Morioka姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
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