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宝石の価値は何で決まる?ダイヤモンドが宝石の王様である理由とは

2024.10.15

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時を超えて輝く価値あるジュエリー 身に着けるととたんに高揚感に包まれ、心まで輝きで満たすジュエリー。その魅力をあえて一言でいうなら、それは「時を超える」ということではないでしょうか。最高級のジェムストーン、伝統のサヴォアフェール(職人技)、高名なデザインや受け継がれるスタイルなど、過去から未来へと繫がっていくジュエリーの価値について考えます。前回の記事はこちら>>

宝石の価値を知る

今、宝石について、ジュエリーについて、私たちが知っておくべきことは何でしょうか。長年宝飾業界に携わり、海外での買い付けやオークションで研鑽を積んだのち、現在はジュエリーアドバイザーとして、所有する宝飾品の鑑定・助言を行う原田信之さんにお話を伺いました。

宝石の価値は何で決まる?ダイヤモンドが宝石の王様である理由

基本的に宝石は「欲しい方がどのくらいいるか」が価値に影響します。採れる量が少なく、需要も少ない宝石は一部には喜ばれますが、必ずしも高価ではありません。

一方で、おそらく世界でも採掘量が多い宝石であろうダイヤモンドは、求める人も多いために高価です。宝石の品質を決める基準となる「硬度」も、ダイヤモンドは一番高い10(下表参照)。



硬度とは「あるもので引っかいたときの傷つきにくさ」を表し、ダイヤモンドの次はルビーとサファイアが続きます。ダイヤモンドは非常に強い結晶であるため傷むことはほとんどありません。人気と硬度、どちらも高いのがダイヤモンドなのです。

ダイヤモンドといえば、近年話題の合成ダイヤモンドは、中国やインドで作られていますが、これがジュエリーの脅威にはならないというのが私の見立てです。同じ成分でも自然のものと人工のそれとでは明確な違いがあり、アクセサリーとして定着することはあれ、天然宝石の人気を奪うものではないからです。

一方で、合成ダイヤモンドが天然と紛れてしまうのは絶対に避けなければなりません。ダイヤモンドのトレーサビリティ(原産地証明)や、天然と合成のスクリーニングなどを自社で管理している、しっかりとしたブランドを選ぶことが大切です。

ジュエリーを購入する際、いわゆる“ブランド”のものを選ぶメリットは、この「信頼」にあります。素材や製造過程の透明性はもちろん、宝石を美しく見せる普遍的なスタイルの継承、細部まで使い手のことを考えた堅牢さ、裏側まで磨き上げられた丁寧な作りなどはブランドの魅力といえるでしょう。

高値で取引される、特定産地・無処理の三大貴石

宝石の格を示すものにはほかに「産地」があります。産地が価値に関わる理由は、産地の環境の違いが石の特徴として表れるから。

たとえばサファイア。カシミール産はコーンフラワーブルー(ヤグルマギクの青)という乳白色を感じる青色が特徴ですが、これはインド・パキスタンの国境の5000メートルの高地で19世紀末からのわずか20年の間にだけ採れたものです。ビルマ(ミャンマー)産は力強いロイヤルブルーで、10カラットを超える大粒になると特に美しい。スリランカ産は透明度が高いのが特徴です。スリランカ産を1とすると、ビルマ産は3、カシミール産は10と価値の違いがあります。

ルビーは残酷なほどに産地の格が明確で、ビルマのモゴック鉱山が一番格が高く、それ以外はその他扱い。残念ながらモゴック鉱山の産出は少なくなる一方ですが、近年はビルマ産に近い美しさのものも採れるモザンビーク産が救世主になっています。

エメラルドの産地はコロンビア、ザンビア、ブラジルで、それぞれ色の濃さと大きさに違いがあります。

これら特定産地のルビー、サファイアの無処理(加熱の痕跡がない)、エメラルドのオイルや樹脂の含浸が少ないものは、現在価格が高騰しており、プレミアがついて取引されます。

ちなみに、ほかにここ数年で価格が上昇しているのは、ファンシーカラーダイヤモンドと、パライバトルマリンというブラジルやモザンビーク等の鉱山で採れるネオンカラーのトルマリンです。

宝石の品質を決める7つの要素

【1】種類 (硬度による格)
【2】産地
【3】処理
【4】美しさ
【5】濃淡
【6】欠点
【7】サイズ

宝石こそサステナブル?ジュエリーのこれから

価値の高い宝石ほど、そうそう採れません。例えば最高峰品質の10カラットモゴック産の無処理のルビーは10年に1個採れるかどうかというところ。宝石を捨てる人はいませんから、過去に採掘された宝石のほとんどは誰かが所有しているということになりますが、ジュエリー業界では30年を1サイクルとして、これが再び市場に出てくるといわれています。

宝石は、もとより再流通して当たり前、サステナブルなものなのです。よいジュエリーがきちんと還流すれば、鉱山開発で自然を破壊することもなく、無駄なエネルギーの消費も抑えられます。

時代を超えて価値が受け継がれる、質の高いジュエリーを作ることがブランドの使命であり、そのようなジュエリーを再び流通させることが、これからの正義となるのではないでしょうか。

原田信之(はらだ・のぶゆき)
1983年諏訪貿易入社。宝石バイヤーの傍ら、ジュエリーのプロデュースも担当。2017年、所有しているジュエリーの活用方法をアドバイスする「ジュエリーアドバイザー アンド ギャラリー」を設立。代表取締役。

この記事の掲載号
『KATEIGAHO JOURNAL(家庭画報 ジャーナル)』
2024年9月7日発行号(非売品/Free)

『KATEIGAHO JOURNAL(家庭画報 ジャーナル)』は、雑誌『家庭画報』より発行する定期タブロイドメディアです。ワンテーマに特化した内容で、皆さまをラグジュアリーな世界へご案内します。

一部地域の新聞折り込みのほか、家庭画報本誌を年間購読いただいている方にも、本誌に同梱してお届けします。 次号は12月発行予定。この機会にぜひ年間購読をご検討ください。◆家庭画報年間購読のご案内はこちら→

Text: Aki Nogami

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