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不正出血があれば必ず婦人科の診察を。「子宮体がん」のリスク要因から治療まで

2024.11.14

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サイレントキラーの病に備える 第11回(2)子宮体がんになる女性の数が右肩上がりに増えています。気づきにくい子宮体がんの症状や診断について、日本婦人科腫瘍学会で『子宮体がん治療ガイドライン 2023年版』改訂委員会・作成委員会委員長を務めた、杏林大学医学部産科婦人科教授の小林陽一先生に伺います。前回の記事はこちら>>

「子宮体がん」“気づいたときには手遅れ”にならないように

[お話を伺った方]
杏林大学医学部産科婦人科教授
小林陽一(こばやし・よういち)先生
1986年慶應義塾大学医学部卒業後、大田原赤十字病院産婦人科副部長、聖マリアンナ医科大学産婦人科講師等を経て、2002年米国バーナムがん研究所に留学。07年聖マリアンナ医科大学産婦人科准教授、10年杏林大学医学部産科婦人科准教授、14年同臨床教授の後、18年から現職。現在、日本婦人科腫瘍学会ガイドライン委員会委員長を務める。

1986年慶應義塾大学医学部卒業後、大田原赤十字病院産婦人科副部長、聖マリアンナ医科大学産婦人科講師等を経て、2002年米国バーナムがん研究所に留学。07年聖マリアンナ医科大学産婦人科准教授、10年杏林大学医学部産科婦人科准教授、14年同臨床教授の後、18年から現職。現在、日本婦人科腫瘍学会ガイドライン委員会委員長を務める。

子宮体がんのリスクを高めるホルモン療法や生活習慣病に要注意。不正出血があればすぐに診察を

子宮体がんの最も重要なサインは不正出血です。不正出血は茶色っぽく色がついたおりものから鮮血までを含みます。「もともと月経不順がある人、閉経前後で月経周期が乱れている人は不正出血を軽く考えてしまいがちです。一時的な女性ホルモンの乱れであればよいのですが、子宮や卵巣、腟などの病気の可能性があるので、一度は受診してください」。

特に閉経後の不正出血は要注意です。「最後の月経から1年経って月経が来なければ閉経とみなします。ところが、2年3年と経ってからの出血を月経が再開したと考えて様子をみたためにがんが進行した患者さんもおられます。出血が続いていても、ほとんどの場合、婦人科医は内診をしますので、すぐに受診していただくのがいいですね」。水っぽいおりものや黄色っぽい膿が混じったようなおりものが続くこともあります。

子宮体がんと生活習慣病

肥満、糖尿病、高血圧、脂質異常症といった生活習慣病があると子宮体がんのリスクが上がることが欧米の研究で報告されています。「例えば、肥満で皮下脂肪が多いと卵巣に届くべき女性ホルモンが脂肪に吸着されて排卵障害の原因になります。また、脂肪組織でもエストロゲンが作られて、エストロゲンが過剰になります。いずれも子宮体がんのリスクを上げる要因です」。


生活習慣病はがんの再発リスクを上げることも知られています。逆にいえば、生活習慣病の予防によって子宮体がんのリスクを下げられる可能性があるのです。

「子宮体がんは早期に発見できると治りやすい病気です。ただ、手術や薬物療法がうまくいっても、生活習慣病で動脈硬化になって虚血性心疾患を起こすなど、がんとは別の理由で命を落とすことがあります。また、がんの治療薬が心臓などを傷めることもあります」。

小林先生によると、最近、腫瘍循環器学という、がんと循環器疾患の両方が重なった領域の重要性が知られるようになっているそうです。「がんを経験した患者さんは、がんだけでなく、生活習慣病など重なっている病気にも気をつけて、必要に応じて診断や治療を受けてください」。

取材・文/小島あゆみ

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