連載「雨のことば」11月 風花(かざはな)
文=矢部太郎(お笑いタレント・漫画家・気象予報士)
風花とは晴れた日に雪が風に乗ってちらちらと降ること。
冬型の気圧配置が強まり、風上の降雪が季節風に乗って、関東平野へ舞い降りて来るときなどに使われます。
僕はお世話になった乗馬の師匠の葬儀に群馬県まで出向いた時に風花に出会ったことがあります。
葬儀場を出ると、からっと明るい性格であった師匠の人柄のような青い空に、白い雪片が。降るというよりもまさに風に乗った花びらのように舞っていて、参列者を包みこみました。
あの現象を風花と呼ぶ日本語の美しさ。先人たちが季節の、心のうつろいを表してきた「雨の言葉」は、日本語の最小の文学なのかも知れないと感じるような体験でした。
この時季の雨のことば北時雨(きたしぐれ)
冷雨(れいう)
初時雨(はつしぐれ)
液雨(えきう)
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