更年期世代のお悩み解決 心が楽になる“幸せ習慣” 第11回 社会が求めるリーダー像は、従来の統率型から調和型へ変わりつつある──。今はその過渡期だといいます。それぞれが教授、経営者というリーダーの立場でもある幸福学の研究者・前野隆司先生とマドカさんご夫妻に 部下との関係が良好で、かつ仕事の結果も出す“慕われるリーダー”になるためのヒントを伺いました。
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無理に統率しようとせず、調和を第一に“慕われるリーダー”を目指す
「部下やスタッフとのコミュニケーションがうまくいかず、つらい」
前野隆司先生 まえの・たかし 工学博士。日本における幸福学研究の第一人者。武蔵野大学ウェルビーイング学部教授、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授。
前野マドカさん まえの・まどか 夫の隆司氏とともに幸福学を研究。幸せな社会を目指す会社「EVOL」を経営。幸せを広めるワークショップ、コンサルティング、研修活動、講演等を行う。
指導力を発揮する統率型からみんなの意見を聞く調和型へ
企業や組織でリーダーを務める女性たちから、部下やスタッフとの接し方がわからないと悩む声が聞かれます。マドカさん 特に女性のリーダーは、周囲から期待される上司像を自分で作り上げてそこに近づこうとし、現実とのギャップに悩む傾向があるように思います。男性や年上の部下がいる場合は、なおさら弱さを見せまいと何重にも鎧をつけ、頼れるリーダーになろうとして疲弊してしまう──。
前野先生 最近、オーセンティックリーダーシップという用語が注目されています。カリスマ的な強いリーダー像を追い求めるのでなく、弱いなら弱いまま優しいなら優しいまま、自分らしい価値観や倫理観を生かす新しいリーダーのあり方を表す言葉です。実際に今、社会が求めるリーダー像は、絶大な指導力をもって命令や指示を出し、組織を引っ張っていく統率型リーダーから、みんなの話を聞いて意見を取り入れ穏やかにまとめていく調和型リーダーへと変化しつつあります。……とはいえまだ過渡期。
マドカさん 女性リーダーはどちらかというと和を重んじる調和型が多いので、昔に比べると受け入れられやすくなりましたが、旧態依然とした職場ではかなりストレスを感じる場面も多いですね。
前野先生 これからの社会は調和型が主流になっていくと思います。というのも調和型リーダーの率いる組織は、部下やスタッフのパフォーマンスが高く、成果も上げているという実績があるからです。いったいそれはなぜか──。ポーラ幸せ研究所が、調和型で自らの幸福度が高く、かつ結果を出すショップ店長のマインドや行動を調査したところ、特徴がありました。「自分の考えを明確に提示して先導し、部下はそれに従う」ではなく、「命令はしない。自分が動く姿を見せて部下に気づかせ、相手の主体性を大事にする」だったのです。
統率型リーダーと調和型リーダー
マドカさん そのようなリーダーはスタッフに“慕われている”のだと思います。慕うという言葉には、ただの仲よしではなく、上司への尊敬や憧れが感じられます。だからチームとしての連帯感が生まれ、業績も上がり、さらに団結する──。私も経営者として、慕われる存在でありたいですね。