〔特集〕錦秋の京都を訪ねて イロハモミジの燃えるような赤に染まる京都の秋。平安貴族たちが競い合うように和歌や日記に残した紅葉の名所は、今も私たちに眼福を与えてくれます。人気の観光地にあっても、未だ静けさの残る奥京都へ秋の美味と令和の紅葉狩りへと皆様をご案内いたします。
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奥京都で紅葉狩りの昼膳&アフタヌーンティーを
観光客で賑わう市街地から足を延ばし、遠足気分で美味なる紅葉狩りへ。歴史を物語る凜とした雰囲気とその土地ならではの旬味を求めて、旅の目的地となる美味処へご案内します。
〔嵯峨野〕平野屋
愛宕街道の麓にて松茸と鮎三昧
紅葉を愛でながら味わう焼き松茸は野趣に富んだ味、栗はほっこりした優しい甘み。
観光客で賑わう嵐山から奥嵯峨・鳥居本に向かうと、静寂な鄙の雰囲気とともに秋の気配が一気に深まります。
嵯峨鳥居本の清滝に抜ける愛宕街道に建つ茅葺きの母屋は、創業時からの建物。紅葉のグラデーションが見事。写真/水野秀比古
火伏せの神を祀る愛宕神社の鳥居の畔に佇む「鮎茶屋 平野屋」も、色鮮やかな紅葉に包まれます。
店は愛宕詣の人が一服する茶屋として江戸初期に創業。鮎問屋を経て、明治期に料理店となり、今も変わらず地のもので四季折々のもてなしをしています。
秋深まる頃の鮎は夏より一回り大きい。香ばしくジューシーに備長炭で焼き上げる。
秋は松茸や栗とともに、専属の漁師が近隣の川で釣った、子持ち鮎も名物。愛宕山の湧き水を引き込んだ生簀で2、3日休ませて生気を取り戻したタイミングのものを焼き上げます。旬の盛りの時季よりも大ぶりで、あっさりとした味わいです。
湧き水で温めた湯豆腐はなめらかで風味豊か。焼き物などが付くコースで楽しめる。
冬に向けては湯豆腐のコースも用意され、ふっくらと温めた豆腐は代々おつきあいのある同じ奥嵯峨の「森嘉」製。一丁丸ごとの豆腐をすくいながらいただく、体を芯から温めてくれる逸品です。
おくどさん(竈/かまど)で蒸した米粉の団子を、きな粉の香ばしさと黒砂糖の甘さで引き立てる名物「志んこ」。
平野屋住所:京都市右京区嵯峨鳥居本仙翁町16
TEL:075(861)0359
営業時間:11時30分〜14時、17時〜19時(ともにLO)
定休日:不定休
写真の焼き鮎が付く会席は昼1万1385円〜、夜2万240円〜(10月中旬まで)。松茸は時価(11月上旬まで)。湯豆腐のコースは昼7590円〜(4月まで)
※要予約
(次回へ続く。
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