〔特集〕心躍る、新しい銀座へ 訪れるたびに新しい楽しみに出会える街、銀座。歌舞伎の世界での活躍に加え、この秋公開の映画『八犬伝』でも話題を集める尾上右近さんが、この街の魅力を再発見します。
前回の記事はこちら>>・特集「心躍る、新しい銀座へ」の記事一覧はこちらから>>
尾上右近さんが銀座の魅力を“再・発見伝”
職人技を目の前で堪能できる
“観劇”気分も味わえる、銀座の高級カウンター
外堀通りに面したビルの11階にあるラウンジバー「グレイルーム」のテラスは銀座の街並みを地上30メートルから眺められる特等席。カーディガン7万1500円/アンペイブド(ザ・ピーアール)
世界中の美味が集まる街・銀座で、今、出かけたいのはカウンタースタイルの店。料理人の技を間近で眺め、会話を楽しみながらのライブ感溢れる食の魅力を、尾上右近さんがご案内します。
尾上右近(おのえ・うこん)立役、女方、清元唄方を兼ねる花形歌舞伎俳優。確かな実力で多方面で活躍、映画『燃えよ剣』では日本アカデミ一賞 新人俳優賞受賞。本年は映画『八犬伝』、『十一人の賊軍』、錦秋十月大歌舞伎『音菊曽我彩(おとにきくそがのいろどり)』、歌舞伎NEXT『朧の森に棲む鬼』の公演が控えている。
三分樓(銀座6丁目)
国産の旬の美味と、豊富な日本酒を楽しむ
季節の八寸(2200円)。醬油漬けにしたわさびの葉で巻かれたピエダングロワ(チーズ)が入った最中は、イノベーティブの経験もある武井料理長ならでは。
2024年3月、“ゆっくり食事を楽しめる”ことをコンセプトにオープンした「三分樓」。『ミシュランガイド東京』(2016年、2017年)にも掲載された「三ぶん」の新しい系列店です。
5種類のきのこと3日かけただしで炊き込んたご飯。ぶりの照り焼きを混ぜて。1〜2名分で3500円。
カウンター内の炭火の焼き台で、旬の魚や肉を焼く様子を眺めながら待つのも心躍る時間。
武井克幸料理長が、無添加や有機素材などにもこだわり、厳選した国産食材で腕をふるう料理に、繰り返し足を運びたくなります
三分樓(さんぶんろう)住所:東京都中央区銀座6-8-7 交詢ビル4階
TEL:03(3289)2050
営業時間:12時~15時、17時~23時(土曜・日曜は12時~20時)
定休日:無休
個室あり
ギンザ フジマル(銀座4丁目)
鉄板のあるカウンターでシェフの技とフレンチを堪能
シェフのシグニチャー「オマール海老ナンチュアソース煮込み」。プリプリのオマール海老とこくのあるソースが絶妙。
佐賀で60年続く老舗のフレンチで修業した藤丸貴成シェフが、鉄板の手法で仕上げる極上のフレンチ。目の前の鉄板で調理された旬の食材を、あつあつのできたてでいただけます。
鉄板の炎を巧みに操る藤丸シェフ。
前菜は、フレッシュキャビアがのった甘海老とトマト水のジュレ(左)とフォワグラの西京味噌漬け(右)
カウンターでのライブ感溢れる楽しさはもちろん、正統派フレンチの技法をベースにソースにこだわりを持つシェフのひと皿は、くせになるおいしさ。真っ暗な中フランベするディナーでのデザートもお楽しみの一つ。
GINZA FUJIMARU住所:東京都中央区銀座4-10-1 銀座AZAビル6階
TEL:03(6264)1188
営業時間:11時30分~(最終入店13時)、17時30分~22時30分(最終入店20時)
定休日:第1・第2火曜、水曜
完全予約制 ランチコース1万710円~、ディナーコース2万570円~
トラヤ ギンザ(銀座7丁目)
目の前で作られるできたての菓子
美しく繊細なきんとんを、目の前で仕上げていく菓子職人の山根さんの技に見惚れる右近さん。
2024年4月にリニューアルオープンした「トラヤ ギンザ」。予約制のカウンター席は、職人が目の前で手がけた菓子を作りたての最もおいしい瞬間に味わえる、贅沢な和菓子のシェフズテーブルです。
焼きたての生地に小倉餡をはさんだ、あつあつの「夜半の月」をぱくり。飲み物付き1958円。
季節で替わる同店限定生菓子。この日は生のバナナに白餡を混ぜたそぼろとカカオ餡を組み合わせた「蕉柯(しょうか)」。飲み物付き2090円。
「できたての和菓子がこんなにおいしいなんて!バナナの味がするきんとんなど、老舗でありながら自由な発想で進化を続けている姿勢も素敵ですね」
TORAYA GINZA住所:東京都中央区銀座7-8-17 虎屋銀座ビル4階(入り口は「すずらん通り」側)
TEL:03(6264)5200
営業時間:11時~19時(喫茶は18時30分LO)
定休日:第2月曜(祝日の場合は営業、第3月曜休)
個室あり
※カウンター席・個室は要予約
銀座吉澤 肉割烹(銀座1丁目)
創業100周年を迎えた老舗がリニューアルオープン
最高の焼き具合の黒毛和牛を焼いて、濃厚でおいしい平飼い卵を割った器に入れて出してくれる。料理はすべて至れり尽くせりのコース。
大正13年に創業し、銀座で和牛のおいしさを伝えてきた「銀座吉澤」が、100周年の2024年7月末、場所を移転しリニューアルオープンしました。
先付はコンソメスープの一番搾り。スープでおなかを温めた後、前菜の和風タルタルサンドをいただく。
新たな挑戦として、檜のカウンターが目を引く肉割烹を開店。農林水産大臣賞を受賞した金村直樹料理長が腕をふるう、黒毛和牛が存分に味わえるコースでは、すき焼きも焼いて卵につけて提供してくれます。
銀座吉澤 肉割烹住所:東京都中央区銀座1-20-8 吉澤銀座1丁目ビル3階
TEL:03(3542)2981
営業時間:17時~22時(21時LO)
定休日:日曜・祝日
半個室あり 完全予約制
コース1万8000円~、土曜限定コース1万5000円
「銀座は伝統と革新の両輪で時代を創り続けてきた街だと思います」── 尾上右近さん
歩いていれば必ず誰かに会う、僕の“地元”東京で生まれ育ち、幼い頃から歌舞伎座や新橋演舞場に出演してきた尾上右近さんにとって銀座は「うんざりするほどなれ親しんだ街です(笑)。緊張もするけれどホッとする、自分にとって一番の地元という感覚がありますね」。
今回はカウンター席があるお店で銀座の魅力を再発見していただきました。
「料理人の方と会話しながら食事をするのが好きなので、カウンターのあるお店はいいですね。目で見ても楽しいのが料理だと思うので、カウンターの向こうで繰り広げられる職人さんの技には舞台の上での役者の芸に近いものを感じます」
世界の一流品が綺羅星のごとく集まり、100年を超える老舗が軒を連ねる傍らで新しい店も次々とオープンし、それぞれが魅力的な商品やサービスを競う合うように発信している、銀座。
「変わらないように見えますが、時代に合わせてそれぞれのお店が努力や挑戦をすることで続いてきた街だと思います。歌舞伎も、その時代時代の人間たちが伝統と革新の両輪で400年以上の歴史を紡いできたわけですが、決してよい時ばかりでなく、危機感を持った時だってあったはずです。それでもどんどん新しいことをやりながら、一方で古典も大切にしてきたからこそ今がある。銀座の街も同じではないでしょうか。そして何より洒落っ気があるのがいいですよね。心が動くことが続くのが伝統。僕が銀座を好きなのは、そんな街だからだと思います」
サンタ・マリア・ノヴェッラ銀座店でリピート買いしているという紙香、アルメニアペーパー(4400円)。TEL:03(6384)5188
ナイルレストランでは「ムルギーランチ」(1600円)に加えトマトスープ(650円)もおすすめ。「スパイスのきいた味にびっくりしますよ」。TEL:03(3541)8246
銀座三越 本館地下2階 洋菓子にあるノワ・ドゥ・ブールの「焼きたてフィナンシェ」は並んで買うほどお気に入り。5個わっぱ入1627円。TEL:03(3562)1111(大代表)
(次回へ続く。
この特集の記事一覧はこちらから>>)
尾上右近さん出演の映画『 八犬伝』
©2024『 八犬伝』FILM PARTNERS
この秋、話題の映画『八犬伝』。役所広司さん演じる滝沢馬琴が綴った『八犬伝』の“虚”の世界のスペクタクルと馬琴自身の半生を描いた“実”のパートの感動が交錯するエンターテインメント大作です。
©2024『 八犬伝』FILM PARTNERS
右近さんが登場するのは鶴屋南北が劇中で披露する『東海道四谷怪談』の初演の場面。
「僕にとって血の繫がる一番遠い先祖である三世尾上菊五郎の役として、お岩様を演じさせていただきました。来年で初演から200年を迎える『東海道四谷怪談』が映画でどう描かれているかお見逃しなく!」と右近さん。
原作/『八犬伝 上・下』山田風太郎(角川文庫)
監督・脚本/曽利文彦
出演/役所広司、内野聖陽、土屋太鳳、渡邊圭祐、鈴木 仁、板垣李光人、水上恒司、松岡広大、佳久 創、藤岡真威人、上杉柊平、栗山千明、中村獅童、尾上右近、磯村勇斗、黒木 華、寺島しのぶほか
全国公開中!