〔特集〕心躍る、新しい銀座へ 憧れの街、銀座はかつてどのような街だったのでしょうか。昔の面影を残す場所を訪ねながら、その時代に想いを馳せてみてはいかがでしょう。
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2025年2月に建て替えのため休館へ
演劇史に刻まれる帝国劇場物語
紫のシートと華やかなライトに、足を踏み入れるだけで心ときめく客席。オーケストラピットを使用しない場合の最大席数は1955席。座席が扇状に配置されているので、どこに座っても見やすいと評判。
日本の演劇・ミュージカルを牽引してきた帝国劇場。その歴史と、華やかな舞台の数々を振り返ります。
「今日は帝劇、明日は三越」と謳われたエンタメの聖地
七色のステンドグラスと水引をモチーフにしたオブジェが印象的な1、2階の吹き抜けロビー。
1911(明治44)年3月1日、日本初の西洋式劇場として開場した帝国劇場。設立の発起人には伊藤博文や渋沢栄一など錚々たる名士が名を連ねました。
イタリア、イギリスで活躍した振付師ジョバンニ・ローシーが手がけた歌劇やバレエ、三浦 環出演の日本初の創作オペラ、帝劇付属技芸学校を卒業した女優たちによる「女優劇」、歌舞伎など、多彩な作品を上演。「今日は帝劇、明日は三越」という言葉は流行語にもなりました。
【近代演劇の拠点となった名建築】左・明治44年に開場した初代帝国劇場。横河民輔の設計によるルネサンス建築様式の建物。中・関東大震災後に再開場した大正時代の外観。右・谷口吉郎設計による現在の帝国劇場。
1923(大正12)年の関東大震災では火災に見舞われましたが、翌年には再開。第二次世界大戦も乗り越え、終戦の2か月後には六代目尾上菊五郎一座の『銀座復興』が上演されています。
1966(昭和41)年に建て替えられた現在の帝国劇場の開場は、二代目中村吉右衛門襲名披露公演。続いて劇作家・演出家の菊田一夫により世界で初めて演劇化された『風と共に去りぬ』は、劇場の舞台機構を存分に生かした豪華でスペクタクルな作品として、6か月にわたりロングラン上演され、生まれ変わった帝国劇場の方向性を決定づけました。
【喝采を浴びた名舞台の数々】『屋根の上のヴァイオリン弾き』『レ・ミゼラブル』『ミス・サイゴン』『エリザベート』など、上演された名作は枚挙にいとまがない。左・2024年12月20日(金)~2025年2月7日(金)にクロージング公演が行われる『レ・ミゼラブル』。右・古川雄大さんと京本大我さんのダブル主演で話題を呼んだ『モーツァルト!』。
その後上演されてきた名作ミュージカルの数々や、蜷川幸雄演出によるシェイクスピア劇をはじめとする演劇作品は、多くの人の記憶に残っているのではないでしょうか。近年では『千と千尋の神隠し』など、帝国劇場から誕生した新作も大きな話題を集めました。
50年以上にわたって愛されてきた2代目帝国劇場ですが、2022年9月に、その閉館と建て替えが発表されました。
2024年1月からスタートしたクロージング公演には意欲あふれる新作と、演劇史にその名を刻んできた名作をラインナップ。2025年2月まで存分に名残を惜しみたいものです。
そして、時期はまだ未定ですが、新たな劇場の再開に期待しましょう。
観劇の思い出をお手もとに。帝国劇場クロージング記念グッズ
同じ丸の内の地で歴史を刻んできた「ロイヤル コペンハーゲン」による、帝国劇場と周辺の街並みを描いたプレートを予約販売。お申し込みは2024年12月31日(火)まで。帝国劇場オリジナルデザイン2025年記念プレート by ロイヤル コペンハーゲン3万2000円。
お申し込みはこちらから>>帝国劇場住所:東京都千代田区丸の内3-1-1
TEL:03(3213)7221
URL:
https://teigeki.tohostage.com(次回へ続く。
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