〔特集〕スコットランド発・英国王室御用達ブランド[ジョンストンズ オブ エルガン]を訪ねて 世界で愛される誇り高き手仕事の美 極上の肌触りで、一生ものとなるカシミヤやウールの織物&ニットウェアを製造する1797年創業の「ジョンストンズ オブ エルガン」。世界最高峰の品質を誇るこの名門ブランドは、環境への配慮や社会貢献の活動でも業界をリード。高い志と情熱、そして未来への希望に満ちた、ものづくりの舞台裏をご紹介します。
チャールズ国王も愛用。
英国王室が最高峰と認めるカシミヤ&ウール
黄色いハリエニシダの花が至る所に咲くエルガン郊外の草原。ジョンストンズの色彩は、スコットランドの大自然の色を取り入れたもの。写真のストールは、ロッホブルー・ギンガムチェック・カシミヤストール(190×70センチ、8万6900円)。
まるで絹のように艶やかで柔らか。一度手に触れると、極上の肌触りに魅せられ、手放せなくなるほどのカシミヤとウール。その作り手である名門ブランド「ジョンストンズ オブ エルガン」の製造現場を取材するため、スコットランドの北東岸、エルガンの町にある本社工場を訪ねました。
原毛からカシミヤ製品になるまでの工程を見学することができる本社工場。最新作がディスプレイされたショップ、スコットランドの伝統料理やアフタヌーンティーを楽しめるカフェも。
227年前に23歳の起業家、アレクサンダー・ジョンストンが創業した家族経営の会社は、英国大不況、2度の世界大戦、工場の火災や洪水といった数々の壊滅的な危機を乗り越え、今もなお世界中の人々に愛される最高峰のカシミヤとウールを作り続けています。
英国王室とのつながりが深く、1853年には、スコットランドのバルモラル城を購入したヴィクトリア女王とアルバート王配のために「スーパーバルモラル・ツイード」と称されるエステート・ツイードを製作しています。
ジョンストンズは、長年にわたり持続可能な事業開発を進めており、その高い志も注目されてきました。2013年には地球環境の保全活動を支援する、当時皇太子だったチャールズ国王からウール製のエステート・ツイード製造者として、英国王室御用達許可証が授与されました。
そして2024年、ニットウェア、織物アクセサリー類も英国王室御用達として認められ、さらに国際貿易への貢献を称える英国国王賞(企業部門)も受賞しました。
チャールズ国王は長年にわたり、良質で再生可能かつ自然分解可能なウールの使用を奨励している。写真のスカーフはジョンストンズ製造の限定品。
「英国王室メンバーは、本当によい品質のものを一度だけ購入し、一生ものとして使われます。私たちが作るものが “国王にふさわしいもの” であると認められたことに感激しています」と語る4代目ファミリーオーナーで、副会長のジェニー・アークハートさん。
エルガンで生まれ育った副会長のアークハートさん。
世界のトップファッションブランドからも厚い信頼を得て、委託生産のオーダーが絶えることはなく、社内生産の70パーセント以上を占めるほど。2024年、かの「クリスチャン・ディオール」は、敬意を表して2025年の「クルーズ・コレクション」の一部がジョンストンズにより作られていることを発表しました。
品質のよいものを長く、大切に愛用する ── それこそが、これからの時代にふさわしい、本物のファッションなのかもしれません。