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大切な人との永遠の別れ、喪失感から立ち直れない。専門家の回答は?

2024.12.04

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更年期世代のお悩み解決 心が楽になる“幸せ習慣” 第12回 1年間にわたり、更年期世代のお悩みに対して理論的に、かつ日常生活に則してお答えくださった幸福学研究の第一人者・前野隆司先生とマドカさんご夫妻。最終回のお話は、「死別の哀しみ」から「後悔しない生き方」につながり、「幸せの4つの因子」で締めくくられました。前回の記事はこちら>>

哀しみはやがて感謝に変わる──。死別体験を自らの生き方に生かして

「大切な人との永遠の別れ。喪失感から立ち直れない」

前野隆司先生
前野隆司先生

まえの・たかし 工学博士。日本における幸福学研究の第一人者。武蔵野大学ウェルビーイング学部教授、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授。

前野マドカさん
前野マドカさん

まえの・まどか 夫の隆司氏とともに幸福学を研究。幸せな社会を目指す会社「EVOL」を経営。幸せを広めるワークショップ、コンサルティング、研修活動、講演等を行う。

幸せ習慣

哀しみは半年から3年で癒え、感謝と使命感が生まれてくる

50代は親の看取りが身近になってくる年齢でもあります。大切な存在を亡くした心の穴が大きくて、なかなか立ち直れない人も少なくありません。

前野先生 キャンサー・ギフトという言葉をご存じでしょうか。がんになったことで生じるポジティブな変化──それまで見えなかったことに気づいたり、新たな出会いがあったり──を“がんからの贈り物”と表現した言葉です。これと同じように、死別体験から得られるものもあると思うのです。哀しみの感情が強いときは心に大きなストレスがかかっており、前向きな感情は生まれにくいのですが、人はつらい出来事を経験しても半年から3年で立ち直るといわれています。


マドカさん 私の周りでも多くの人が、看取りの直後は深い哀しみに沈んでいても、やがて「いつまでも落ち込んでいる自分を、親はどう思うだろう。母(父)の分までしっかり生きよう」と使命感のようなものが生まれて、前に進みはじめています。彼女たちの共通点は、普段から社会や人とのつながりを保ち、視野が広いことだといえるかもしれません。

哀しみは時間とともに感謝に変わる

人は哀しみのピークから半年~3年で立ち直るといわれている。自分なりの癒やしを心がけることで、時間とともに哀しみは軽くなり、相反して感謝の念が強まっていく。

人は哀しみのピークから半年~3年で立ち直るといわれている。自分なりの癒やしを心がけることで、時間とともに哀しみは軽くなり、相反して感謝の念が強まっていく。


前野先生 自立している人は、時間とともに哀しみが薄れ、代わりに感謝の思いが生じてきます。上のグラフに示すように2本の曲線がある時点でちゃんと交差できるよう、「母(父)のいない人生なんて考えられない」というような依存からはできるだけ早く脱却できるとよいですね。

イラスト/浜野 史 取材・文/浅原須美

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