死ぬときに後悔しないために今、心がけるべきことは
親の看取りを経験すると自分の最期についても考えるようになります。前野先生 たしかに身近な人との死別体験は“自分はどう生きるか”に目を向けるよいきっかけになります。もし、別れ方や亡くなる前の関係で何かしらの後悔があるのであれば、自分は後悔のないように今の生き方を考えてみる──。
マドカさん 私は誰かと会ったときは“笑顔で気持ちよく別れる”を心がけています。親との電話は「暖かくして寝てね」など優しい言葉で締めくくります。たとえお互いに万が一のことが起きても、最後に思い出すのが笑顔だったり優しさであれば後悔も少ないと思うのです。
前野先生 ピークエンドの法則によると、途中で何かいさかいがあっても、記憶に残るのは最高によい状態のとき(ピーク)と、最後の印象(エンド)なのです。極端な話、大切な人と最高に楽しい思い出を一つ作り、気持ちよく別れることを意識すれば、全体的にいい思い出として残るでしょう。
マドカさん そして「ありがとう」「ごめんなさい」は早めに伝える。やりたいことは「いつか」ではなく「今」やる──。
前野先生 あらためて確信しました。私たちの研究のベースである「幸せの4つの因子」は幸せに生きるための因子ですが、同時に死ぬときに後悔しないための因子でもある、と。幸福学の研究者としては、看取りをきっかけに4因子を高める生き方をぜひ心がけていただきたいですね。
死ぬときに後悔しないために「幸せの4つの因子」を高めるワーク
「『幸せの4つの因子』が満たされていると、死ぬときの後悔が少ない」と前野先生はいいます。今から、あなたの「4因子」を高めておきましょう。
[1]「やりたいことをやればよかった」と後悔しないために→
「やってみよう因子」(やりがいや強みを持ち、主体性が高い)を高める。→ワクワクするやってみたいことを書き出してみましょう。
[2]「感謝を伝えておけばよかった」と後悔しないために→
「ありがとう因子」(つながりや感謝、利他性や思いやりを持つ)を高める。→自分の気持ちを大切な人に伝えてみましょう。
[3]「積極的にチャレンジすればよかった」と後悔しないために→
「なんとかなる因子」(前向きで楽観的、ポジティブである)を高める。→思い切って挑戦してみたいことを書き出してみましょう。
[4]「人目を気にせず自分らしく生きればよかった」と後悔しないために→
「ありのままに因子」(自分と人を比べすぎず、自分らしさを持っている)を高める。→どんな自分らしさを磨きたいか、考えてみましょう。
最後に、お二人に笑顔でお礼を申し上げます。1年間ありがとうございました!
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