名字365 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。
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難読名字:五六(ふのぼり)
数字だけでできた名字は「一二三(ひふみ)」などいくつかありますが、難読度でいえば最強です。この名字、「五六」と書いて「ごろく」でも「ごじゅうろく」でもなく「ふのぼり」と読むのです。この超難解な読み方は将棋に由来しているといわれています。
将棋の盤は9×9=81のマス目でできており、場所を特定しやすいように、一番右上のマスを「1一」といい、左下の「9九」まで各マス目には番号が振られています。
「五六」はこの「5六」に因むといわれているのです。
先手の場合、「5六」の場所は王の上にある歩の1つ上のマス目です。従って、先手が初手で中央の歩を1つ進めるのが「5六歩」という手で、歩が1マスのぼるため「ふのぼり」となります。初手でこの位置の歩を進めるのは大胆な手といえます。
一方後手の場合は、「5六歩」が一つのぼると相手陣地に入って金になります。こちらも重要な場所です。
どちらが由来なのかはわかりませんが、このマス目から「五六」と書いて「ふのぼり」という名字が生まれたと思われます。
現在は宮崎県にある名字で、とくに西都市に集中しています。
森岡浩/Hiroshi Morioka姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
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