連載「12か月のフラワーリース」 世田谷区にアトリエを構える「宙花(そらはな)」のフローリスト戸部秀介さんが作る、季節のフラワーリースを毎月紹介します。空間を華やかに彩ってくれるフラワーリースと共に、花のある暮らしを始めましょう。
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11月のリース「クリスマス」
好きな歌の世界観に発想を得てリースを作ることがよくあります。このシルバーのリースでは、槇原敬之さんの「北風〜君にとどきますように」の冬ならではのシーンの中にあるあたたかく優しい気持ちを表現してみました。直径約20cmの木のつるで編んだリースベースに、モミ、コニファーの‘ブルーアイス’と‘ブルーバード’、ヒムロスギ、ネズの実などを一つひとつ固定しています。白いカスミソウやシルバーのスターアニスは、北風が街に降らせた雪のイメージで散らせています。
戸部秀介/Shusuke Tobe35歳の時にフローリストへと転身。大手生花店、フランス人フラワーデザイナーの店で経験を積み、2016年に東京都世田谷区の中町に「宙花〜sora hana~」をオープン。リースを得意とし、ワークショップにも力を注ぐ。インスタグラム@sorahana.jp
歌の世界観に発想を得て作る、クリスマスリース
子どもの頃からクリスマスが大好きでした。といっても、家族や友人が集うのが好きというより、ショーウインドウのすばらしいディスプレイや夜の街並みを彩るイルミネーションなど、クリスマスを迎えるワクワクした街の雰囲気が好きだったのだと思います。そして、クリスマスが大好きな気持ちは現在でもまったく変わりません。
花市場は8月頃から秋冬の花材にがらっと変わるのですが、私の場合、それがクリスマスへの準備の幕開けです。お店のBGMをクリスマスソングに変え、「さて、今年はどんなクリスマスリースを作ろうか」と心が躍ります。一年中、クリスマスのことを考えていたいくらいのクリスマス好きだと自認しています。
というわけで、毎年、たくさんのクリスマスリースを制作していて、10月1日からすでにオーダー(予約)を受けています。ただし、モミが入荷するのは11月半ばなので、モミを使う作品はそれ以降の制作になります。
クリスマスの雰囲気に合うオーナメントもリースにとってアクセントとなる大切な素材です。今年はどんなオーナメントを利用しようかと、探し求めるのも楽しい時間です。オーナメントも松ぼっくりや木の実などできるだけ自然素材のもの、またはそれをペイントしたものを利用するようにしています。ちなみに
『家庭画報』12月号の「特別な日を彩る、フラワーアレンジ」では、ユーカリの実をゴールドにペイントしたものをベルに見立てて加えています。ぜひそちらもご覧ください。
長くクリスマスを楽しんできましたが、花の仕事を始めてからは「クリスマスをよりいっそう楽しんでもらう」というポジションに変わりました。いまはそのポジションをとても気に入っていて、クリスマスリースをたくさんの方にお届けできることに幸せを感じています。
モミとコニファー‘ブルーバード’、ヒムロスギをベースに、サンキライの赤い実とバーゼリア、松ぼっくり、シナモンを飾り付けたリースです。外側を白くペイントし、雪をかぶっているような松ぼっくりが目をひき、冬の雰囲気をいっそう感じさせます。松ぼっくりはあとから添えるのではなく、一つずつにフローラルワイヤーをつけて固定しています。直径約20cmの木のつるで編んだリースベースを使用。
ブルークリスマスを意識して、シックな青に色が変わったアジサイを利用したリースを作りました。コニファー‘ブルーバード’、アジサイ‘ピンパーネルオーベルジーヌ’、ネズの実というシンプルな素材で、青を引き立たせてみました。このまま自然に乾いてドライリースとして長く楽しめます。北欧風のインテリア、また和室にもよく似合う雰囲気。木のつるで編んだリースベース(直径約20cm)を利用しています。
コニファー‘ブルーアイス’、シルバーがかったネズの実、プラチナにペイントした松ぼっくり。素材をシンプルにしたクリスマスの神聖な雰囲気を感じさせるリースを作りました。落ち着いた色合いで、どんなテイストのインテリアにもよく似合うと思います。直径約20cmの木のつるで編んだリースペースを使用。
さらして白くしたブナの実とカスミソウを雪に見立て、モミとコニファー‘ブルーバード’、ヒムロスギの上にバランスよく散るように配置しました。このリースの形とバランスが気に入っています。森に降る雪のように見えるかもしれませんね。直径約20cmの木のつるで編んだリースベースを使用。