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難病の研究支援や史跡の修復も──名門ウォッチメゾンが取り組む社会貢献の新たなかたち

2024.11.21

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〔特集〕本格時計(ラグジュアリーウォッチ)とともに考える 社会貢献の新たなかたち 世界中の企業で “作る責任” が問われるなか、ラグジュアリーウォッチメゾンも本格時計と社会・環境問題とのかかわりについて真剣に考えています。文化の継承や途上国の産業支援、海洋保全などのさまざまな取り組みや、それによって生まれた時計をご紹介します。前回の記事はこちら>>

特集「社会貢献の新たなかたち」の記事一覧はこちら>>>

最高峰の技を結集させて難病の研究支援に臨む
Patek Philippe(パテック フィリップ)

3500人に一人の子どもが発症する難病、デュシェンヌ型筋ジストロフィー。その研究支援を目的として2005年に立ち上げられたのが、「オンリーウォッチ」というチャリティオークションです。

モナコ大公アルベール2世も後援する「オンリーウォッチ」。

2年に1回、名だたる高級時計ブランドが参加するなか、その白眉として毎回注目されているのが「パテック フィリップ」。2024年5月には世界で一本だけのスペシャルピースを提供し、1570万スイスフラン(約27億円)で落札されました。


ボタンを押すと軽やかなチャイムで時刻を告げるグランド&プティットソヌリ・ミニット・リピーター「6301A」。オンリーウォッチのために製作されたのはその特別版で、18Kゴールドの文字盤に手彫りの模様と七宝の着彩が施されています。

驚くべきは、そこに凝らされた技巧の数々。難病の研究を全力で支援するため、パテック フィリップが誇る最高峰のクラフツマンシップを結集する。そんな気概が込められた一本です。今後出展されるオンリーウォッチも楽しみです。

古戦場跡の史跡を修復し、併設ギャラリーで史実を伝承
Breguet(ブレゲ)

皇帝ナポレオン1世最後の戦いとして知られる “ワーテルローの戦い”。フランス軍とイギリス・オランダなどの連合軍の激しい戦争ですが、両軍の要となる将軍たちにはある共通点がありました。それは彼らの多くが、「ブレゲ」の時計を愛用していたことです。

ウーグモン農場のギャラリーに飾られている、戦役に参加した将軍たちの肖像画。みなブレゲの顧客でした。中央左はナポレオン、右はウェリントン公爵。

仏軍ではナポレオンとその末弟ジェローム、グルーシー元帥、ネイ元帥ら。連合軍でも、ウェリントン公爵、パジェット卿、サマセット卿といったトップたちがブレゲの顧客でした。当時から世界に冠たる時計だったことを物語るエピソードです。

ナポレオンの末弟ジェローム・ボナパルトが所有していた「ブレゲ クォーターリピーターウォッチ No.1587」。チャイムの音色で15分刻みの時間を知らせる複雑機構が搭載されています。

そんなブレゲが支援するのは、ワーテルローの戦跡・ウーグモン農場の修復。納屋にはギャラリーも設け、同地を訪ねる人々にさらなる物語を伝えています。

文/小曽根広光

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