「使うほど美しく」を叶える先進スキンケア 肌の年齢は巻き戻せる 第2回 年齢に抗う「アンチエイジング」という考え方はもはや過去のもの。エイジングが決して不可逆的な事象ではないことを実感させてくれる最先端ラグジュアリー化粧品の“効果の理由”を取材しました。
経験を重ねた価値ある美しさが、理想論ではなく、現実のものになる
資生堂 ブランド価値開発研究所 研究員
上野堅登さん長年スキンケアの製品と処方開発を担当。2019年から資生堂フランスに駐在し、スキンケアブランド「Ulé(ウレ)」の立ち上げに携わる。帰国後は、ブランドSHISEIDOを担当。
年齢に関係なく美しい肌に存在する「美肌遺伝子」
年齢を重ねていても生命感に満ちた美しい輝きを放つ肌は確かに存在します。多少のシワやシミがあっても、奥行きのある輝きが際立つ豊かな肌です。資生堂の上野堅登さんは「肌科学を通して“年齢を超える美”を追求し、その研究成果をベネフィットにつなげる取り組みを続けています」と語ります。その好例が、年齢にかかわらず肌の美しさを決定づける“美肌遺伝子”CCN2の存在とそれに関連する新知見です。
【Keyword】美肌遺伝子CCN2とは?
悪玉因子セルピンb3と関連する遺伝子で年齢に関係なく発現を促すことができる。血管細胞を通してコラーゲンやヒアルロン酸の関連成分を増加させる。
「CCN2は、長年にわたり積み重ねてきたお客さま研究のデータを解析する過程で見出されました。企業が取り組む基礎研究は、『人の生活ありき』で、お客様にどのような悩みがあるのかが重要です。今回、同じ年齢でも肌悩みが多い人と少ない人がいるのはなぜか? という疑問からスタートし、加齢や外的影響以外に肌の美しさを左右する因子の存在を仮定して、世界900人の肌を研究しました。結果、肌悩みが少ない人は年齢平均に比べてCCN2が多く、逆に肌悩みが多い人はCCN2が少ないという事実をつきとめました」。
CCN2は体のさまざまな部分に存在しますが、肌においては、毛細血管に存在する細胞ペリサイトに働きかけることで血管構造を良好にし、コラーゲンの主要構成成分やヒアルロン酸の前駆体を増やすことがわかっています。
培ってきた知恵と技術が肌の未来を照らす
さらに資生堂独自の研究である、肌の老化を加速する“悪玉因子”セルピンb3との相関関係も明らかに。セルピンb3が多い環境下ではCCN2の発現が下がるという真逆の関係になっていたのです。
「セルピンb3や、肌と密接な関係を持つ毛細血管の20年以上にわたる研究、40年取り組んできた遺伝子の研究など、資生堂150年の蓄積が生かされる形で、今回の知見に辿り着くことができました。CCN2はどの年齢の人でもアプローチが可能な遺伝子であり、何歳になっても自身のベストパフォーマンスを発揮できる肌に導く希望の光なのです」。
「年齢を重ねても輝きを失わず、美しく変化する肌。それは普遍的な美の哲学です」
(次回へ続く。)
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