今から始めるメンテナンスで“目”の健康寿命を延ばす 第1回 年齢を重ねると特に気になるのが、老眼(老視)や白内障による見えにくさです。眼科医の平松 類先生によると、ほぼすべての人が老眼や白内障になるとのこと。少しでも進行を遅らせる方法について教えていただきます。
80歳までにほぼすべての人が経験する老眼や白内障を遅らせる・上手につきあう
二本松眼科病院 副院長
平松 類(ひらまつ るい)先生 気をつけたいスマホ老眼。食事や目を休める生活で防ぐ
老眼は、距離に応じて見え方を調節する毛様体筋と水晶体の働きが悪くなり、手もとが見えにくくなる現象です。「最近はスマートフォンを長時間見ることで進むスマホ老眼が増えています」と平松先生。一方、白内障では、本来透明な水晶体が濁るために、視界がぼやける、もやがかかっているように見える、太陽光がまぶしいなどの症状が出ます。
いずれも40代半ばくらいから始まり、70代まで進行します。「見えにくさを放置すると脳への刺激が減り、認知機能も低下します」。
加齢だけでなく、生活習慣も関連するため、食事や日頃の行動を変えることで進行を遅らせるようにしたいものです。
まずは活性酸素による目の老化を防ぐため、目に集積するルテインなど抗酸化物質を摂ります。サングラスで紫外線を避けるのも必須です。手もとを見る作業が続くときは1時間に1回休憩しましょう。「40代から定期的に眼科でチェックを受けるのも大切です」。
目の構造
加齢により、まぶたの下垂、角膜細胞の減少、結膜のシワやシミ、涙の質や量の低下などが起こる。水晶体の濁りによる白内障、水晶体の硬化やその厚みを調節する毛様体筋の機能低下で手もとが見づらい老眼、視神経乳頭周辺が傷み視力が落ちる加齢黄斑変性や糖尿病網膜症、房水の停滞による緑内障のリスクも高まる。