解説/道明葵一郎(どうみょうきいちろう)さん(有職組紐 道明十代目)
帯締め自体に格の高い低いはありませんが、金糸や銀糸を使った帯締めは留袖や訪問着などのフォーマルなきものに合わせるのが一般的です。
昔から高麗組の帯締めは目が細かく上品に見えるため、結婚式に向くといわれますが、それ以外に亀の甲羅のような正六角形の幾何学文様を施した亀甲組の帯締めは、古くから吉祥模様として親しまれ、組方も繊細かつ立体的で、品格が求められる場に適しています。
また、飛鳥時代より高貴な人にしか使用が許されなかった唐組や、織物に似た独特な組目を持つ鎌倉組、水面に小波が立っているような組目の笹浪組など手の込んだ組方の帯締めがあります。
ただし、選ぶ際の一番のポイントは、意匠的に調和するかどうかです。きものの色柄に合わせて自由にコーディネートを楽しんでいただきたいと思います。
帯締め /すべて道明
撮影/本誌・伏見早織 構成/両角明美 取材・文/冨部志保子