“目”の健康寿命を延ばす 第2回 年齢を重ねると特に気になるのが、老眼(老視)や白内障による見えにくさです。眼科医の平松 類先生によると、ほぼすべての人が老眼や白内障になるとのこと。少しでも進行を遅らせる方法について教えていただきます。
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レンズ選びの前に正しい知識を身につけて“老眼”でも快適に過ごす
自分の目に合う遠近両用眼鏡は、役所や病院にある老眼鏡とは違い、見え方が快適です。遠近両用のレンズ自体が進化しているからです。「バリラックス」のレンズを提供するニコン・エシロールの井上陽奈さんに老眼とのつきあい方を教えていただきます。
ニコン・エシロール 国内マーケティング部 バリラックスブランドマネージャー
井上陽奈(いのうえはるな)さん
早い段階からの装着で目が使い方に慣れていく
小さな文字を見るときに近づく、スマートフォンの画面をピンチアウトして拡大する、写真を撮ってから近視用眼鏡をおでこに上げて見るといった仕草は、若々しく装っていても残念ながら老けて見えます。
パソコンや針仕事などの細かい作業で起こる肩こりや頭痛は「実は老眼によるケースがしばしばで、眼鏡を調整すると改善する可能性があります」。
遠近両用眼鏡をかけるのには抵抗があるかもしれません。しかし、井上さんは早い時期から目の状態を知り、老眼度数の弱い遠近両用眼鏡を使うことをすすめます。
「老眼鏡や遠近両用眼鏡をかけなくても老眼は進みます。初期であれば、ご自分の目の調節能力が高いため、遠近両用眼鏡をかけて近くを見るときに自然にレンズの下側を使うなどレンズになじむことができます。一方、老眼が進むとレンズに頼らざるを得なくなり、遠くの度数と手もとの度数のギャップが大きくなり慣れにくいです」。最初に仕事用を作って仕事モードに入るきっかけにする、いくつかの眼鏡を取り替えてイメージチェンジするなどして活用しましょう。
遠近両用眼鏡によってご飯粒がくっきり見えて食事が楽しくなったという声もあるとか。刺繡などの細かい作業、楽譜を見ての楽器演奏など趣味もより楽しめます。
老け見え仕草は遠近両用眼鏡を検討する合図 ●新聞や本、レストランのメニューを遠ざけて見る
●スマホの文字をピンチアウトして大きくして読む
●小さな文字はスマホで写真を撮り、拡大して読む
●パソコン仕事では前傾するか、首を伸ばしてモニターに近づいて作業する
●手もとを見るときに眼鏡をずらす(鼻眼鏡、おでこ眼鏡)
●作業が変わるたびに眼鏡を替える
眼鏡との上手なつきあい方
●レンズを傷つけないよう、ケースにしまうときは眼鏡拭きクロスを折って敷いた上にレンズを下にして入れるか、専用の眼鏡置きを使う。
●汚れたら流水でやさしく洗い、ティッシュで水分を拭き取る。
●水洗いで汚れが取れなければ、食器洗い用中性洗剤を薄めた水の中で洗う。
●レンズは熱に弱い。ドライヤーの熱風、熱湯が入った容器などに近づけないようにする。夏は車のダッシュボードに入れたままにしない。
●眼鏡店では眼鏡の洗浄のほか、テンプルが広がったときやねじが緩んだときの調整もしてもらえる。
進化する遠近両用眼鏡で、スマホも家事も趣味もラクラク。料理もよりおいしく見える
自分の目に合う遠近両用眼鏡をファッションアイテムに遠近両用眼鏡はオーダーメイドが基本。「目の移動は1日に10万回といわれます。パソコン作業であってもパソコン画面、手もとの資料など対象までの距離が異なるため、目には大きな負担がかかります。バリラックスの遠近両用レンズでは両手を伸ばして届く範囲すべてに焦点が合う設計を採用しているため、快適に過ごせます」。
眼鏡作製技能士のいる眼鏡店を見つけると安心
遠近両用レンズは、手もとを見るときの距離、両目の黒目の中心の距離を一人一人に合わせて調整します。「最初は眼科で目の病気の有無も含めてチェックを受け、処方箋を作ってもらい、眼鏡店に行くのが安心です」。
眼鏡店では、眼鏡が合わなくなったときやテンプルの調整、クリーニングなどが可能です。「年に1回は眼鏡のチェックを受けるといいですね」。目や眼鏡の知識を持ち、視力測定やレンズの加工、フレームのフィッティングの技術に長けたスペシャリストの国家検定資格“眼鏡作製技能士”(1級・2級)を持つ人が在籍する眼鏡店はインターネットなどでも調べられます。「なお、目に何か異変を感じたら、眼科で診察を受けてください」。
(次回へ続く。)
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