連載「雨のことば」12月 鬼洗(おにあら)い
文=矢部太郎(お笑いタレント・漫画家・気象予報士)
空気が乾燥して澄んでいる冬には、雨が降ると大気中の塵をさらに一掃し、空が洗われたようにも感じるものです。鬼洗いの雨とは、なんともおどろおどろしい名前ですが、大晦日に降る雨のことで、かつて宮中で大晦日の夜に行われていた、今の節分の豆まきの元である「鬼やらい」(追儺(ついな))という儀式に由来しています。豆をまいて追い出した災いを、洗い流してくれる雨ということですね。
恵みであり、時には災いにもなり、それを洗い流しもする……。それぞれの心模様を天から降る雨に寄せて言葉にしてきた私たち。千年の昔と同じように今も雨は私たちに降り続けます。来たる年はどうか優しい雨が降りそそぎますように。
この時季の雨のことば冬至雨(とうじあめ)
雨氷(うひょう)
時の雨(ときのあめ)
解霜雨(かいそうう)
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