ブチェラッティには、いつも変わらぬ明確なスタイルがあります。ルネッサンスの時代から栄えてきたオラーフォ(金細工)の技によって今やそのスタイルは高いレベルに達し他の追随を許しません。創業者マリオ・ブチェラッティから息子ジャンマリア・ブチェラッティへと継承されたアルティジャナート(職人技)は 現当主アンドレア・ブチェラッティの代になっても、ジュエリーにタイムレスな美しさを与えています。
ヴィンテージピースと現代のピースを並べてみてもひと目で違いを見抜くのは難しいほど。どんな時代も一貫した美意識で昔と同じ手順を守り通すのがミラノに生きる名門ジュエラーの矜持。過去が現在に受け継がれ、現在はやがて未来のヴィンテージとなっていくのです。
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ミラノのスフォルツェスコ城に今も残る、公爵家の紋章「ソーレ スフォルツェスコ」にインスパイアされて作られたハイジュエリー。ソーレはイタリア語で太陽を意味し、情熱的な赤に輝くカボションカットのルビー、計42.45ctがあしらわれています。ダイヤモンドとカラーストーンが緻密に、グラフィカルに敷き詰められたプレート部分は、驚くほど薄くしなやかに仕立てられ、デコルテにぴったりと沿います。
庭園をテーマとした「ジャルディーノ」コレクションのペンダント。印象派の画家クロード・モネの作品にオマージュを捧げ、ジヴェルニーの「モネの庭」を想起させる色合いや、陰影のある表現を追求しています。自然はブチェラッティにとって大切な創造力の源であり、このラグジュアリーな逸品にも草花を思わせる伝統的なモチーフが生かされています。
ブチェラッティの典型的な技で装飾された、人気の高いブレスレット。カラーゴールドの組み合わせは、かつてジャンマリアが特に好んだスタイル。手作業で金の表面にひと筋ひと筋髪のように細いラインを彫る「リガート」の技がシルクのように上品な光沢を生み出しています。
撮影/Fumito Shibasaki〈Donna〉 スタイリング/阿部美恵 取材・文/本間恵子