1番好きなシーンは「くるみ割り人形から王子の姿になり、マーシャと踊るパ・ド・ドゥ(男女二人による踊り)です」と柄本さん。「僕自身は特にドロッセルマイヤーの最後の登場場面でもありますし、王子が登場する場面でもあるので、思い入れはひとしおです」。
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――ズバリ、『くるみ割り人形』の見どころ、魅力を教えてください。「まずは、バレエを観たことがない方、知らない方でもストーリーがわかりやすく、音楽もどこかで一度は耳にしたことがあるような名曲ばかりなので、多くの方に楽しんでいただけるところが魅力だと思います。踊りに関していえば、第1幕第5場の《雪片のワルツ》で踊られるコール・ド・バレエ(群舞)。東京バレエ団のコール・ド・バレエは、世界の有名な方々が認めてくださっているところでもありますし、海外の劇場で踊っても高く評価されてきたので、見どころのひとつですね。
また、現在バレエ団の若手がものすごく伸びてきていて、今回の『くるみ割り人形』に関しては、5日間5公演で5キャストという信じられない状況になっているので(笑)、そこも見どころだと思います」
――以前のワイノーネン版と友佳理さん版では、どのあたりが違うのでしょうか。 「とにかく細かい仕掛けがたくさんあって、何度観ても新しい発見があるところですね。例えば、第2幕のディヴェルティスマン(ストーリーとは関係ない余興の踊り)では、ダンサーたちが高いところから顔を覗かせていたはずなのに、瞬間移動したかのように舞台に出てきて踊るというトリック的な演出があったり。あと、何より特徴的なのは、ドラマ性が強いところです。
マーシャの心の成長がより丁寧に描かれていますし、その成長を導いていく役割をドロッセルマイヤーが担っているので彼の重要度も高く、キャラクターが立っています。そのあたりにも注目していただくと、より楽しく観ていただけるのではないかと思います」