厨子屋 銀座本店・統括マネージャー 長谷川将平さんにうかがいました。
現代のお位牌はパーツが簡略化される場合もありますが、伝統的なお位牌は構成する各パーツに名称といわれがあります。例えば、框は彼岸への玄関を、茄子座は此岸と彼岸の境を表し、全体で「故人がこの世からあの世の玄関に入り、成仏するまでに辿る道筋」を表現しています。※諸説あり。
敷板や帛紗の上にお位牌だけを並べるのであれば、まったく問題ありませんが、仏壇に祀る場合、宗派が違えば仏壇の形式や中にお祀りするご本尊などが異なるため、他宗派のお位牌をまとめてお祀りするのを望ましくないと考えるお寺もあります。宗派の異なるお位牌をお祀りする場合は、宗派ごとに厨子に納めるのがおすすめです。どうしても一緒にお祀りしたい場合は、事前に懇意にしているお寺などに確認しておくとよいでしょう。
大切な方を供養したいという気持ちと戒名の有無は関係ありません。戒名がなくても、お位牌をつくることができます。その場合、戒名の代わりに亡くなった方の俗名(生前のお名前)や没年月日を一緒に記すのが一般的です。それ以外にも、故人が好きだったお花の名前や言葉などを表面に入れ、裏面に俗名と誕生日・没年月日を入れる場合もよくあります。記す内容や配置は自由に考えていただき、ご相談のうえ決めることとなります。
2002年の開廊より親しまれてきた「ギャラリー厨子屋」が、2フロア構成となり、「厨子屋 銀座本店」としてグランドオープン。現代生活に寄り添う“自分らしい祈りのかたち”を提案する場所となりました。
開廊以来、厨子を現代の祈りのかたちとして提案してきた「ギャラリー厨子屋」。ライフスタイルが多様化する中、“自分らしい祈りのかたち”を求める声に応えるため、2024年10月10日、1階にショップを新設して「厨子屋 銀座本店」としてオープンしました。通り沿いにある1階ショップの入り口正面には、厨子屋のアイコンともいえる内田 繁さんデザインのモダンな赤い扉の厨子「Type E」が展示され、白を基調とした店内には厨子をはじめ、仏様やお位牌、祈りの調度品が揃います。
「最近はご自分なりのスタイルでお祀りしたいという方が増えてきました。お話をうかがいながら、ご希望に沿った祈りのかたちを見つけるお手伝いができれば」と話すのは、店長の森田麻水美さん。厨子やお位牌に関する相談にじっくり対応してくれます。
また地下は「厨子屋 銀座本店」のギャラリーとなり、今後、祈りをテーマにクラフトやアートの企画展を実施予定。前ぺージでご紹介した藤野征一郎さんの作品展は、2024年12月7日から始まります。
東京都中央区銀座1-4-4ギンザ105ビル 1F・B1
電話 03(3538)5118
営業時間:11時~19時/火曜、第2・第4水曜定休
URL:https://www.zushiya.com/
祈りのかたち 藤野征一郎 漆芸展
2024年12月7日(土)~2025年1月23日(木)/B1ギャラリー/入場無料
今回ご紹介したものを含め、新作のお位牌や、厨子を30点近く展示する。漆の持つ古典的な美しさと現代的な感覚が絶妙に融合した、藤野さんの作品を直接見ることのできる好機。
撮影/本誌・坂本正行、 大泉省吾 スタイリング/横瀬多美保 取材・文/冨部志保子