〔特集〕心華やぐ「集い」の時間 この一年の出来事を振り返り、無事に過ごせたことを共に感謝する── 親密な人たちとの年末のひとときを忘れ得ぬものにするためには、集いの場の選び方も大切です。華やかなツリーやリースが飾られた自宅で、祝祭気分に満ち溢れるラグジュアリーホテルやレストランで、特別な時間を過ごすためのアイディア、情報をお届けします。
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自宅で過ごすクリスマスの時間
甘露寺一家がクリスマスに集う“海辺の家”の暖炉。常緑の葉とローズヒップ、庭から拾い集めた松笠などを使ったシックなアレンジのガーランドと、直径約90センチもの大きなリースがクリスマス気分を盛り上げる。この暖炉は前面に炎がこない構造になっている。
大切な人たちとともに過ごす温かなひとときは、心に潤いと安寧をもたらし、幸せを感じさせてくれるもの。自宅で家族とともに祝うクリスマスの実例と、デコレーションのアイディアをご紹介します。
家族が集う海辺の家のクリスマス── 甘露寺芳子さん
2024年の年末は家族と、友人と豊かな時間を過ごしたい
三浦半島の突端に位置し、相模湾を望む高台にある“海辺の家”のリビングルーム。普段は各々の仕事や学問に忙しくしている孫子たちが、年に数回一堂に会する場になっている。リースやガーランド、モミの香りが広がるツリーなどの美しいデコレーションで記憶に残る特別な日を彩って。暖炉の炎を囲みながら家族団欒を楽しむ。
甘露寺芳子さん(かんろじ・よしこ)インテリアデコレーター。選りすぐりのインテリア商品を扱う店や、空間デザインを手がける「パフコレクション」主宰。約10年間米国で暮らし、帰国後多彩な形で美しく暮らす豊かさを提案。著書に『ie 家』『海辺のie』(ともに世界文化社刊)など。
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甘露寺家の海辺の家のクリスマスのフォトギャラリーはこちら→思い出の品々をモミの木のツリーに、グランドピアノの上に飾って
「クリスチャンである我が家では、クリスマスは大切なお祝いの日。海外で暮らす孫もいるので、ここ最近は家族14人全員が揃うことはなかなか叶いませんが、ともに集いゆっくりと家で過ごすのが恒例です」と話す甘露寺芳子さん。
いつもは都内にある家に集うことが多いそうですが、時には一家が愛着を込めて“海辺の家”と呼ぶ三浦半島の別邸でクリスマスを楽しみます。
〔心躍るセッティングが笑顔を呼ぶ甘露寺家のクリスマステーブル〕明るく楽しい雰囲気に満ちた、クリスマスを祝う甘露寺家の食卓。長年愛用してきたテーブルウェアと、ニューヨーク郊外に工房を構えるインテリアブランド「マッケンジー チャイルズ」の市松模様が印象的な食器やランナーを組み合わせて。ジンジャークッキーを入れたのは竹の蒸籠。新旧と東西が調和するテーブルにご馳走が並ぶ。
クリスマス用に誂えたディナープレートや蓋物には、安部直子さんによりプラチナ彩と金彩でツリーが描かれている。
「テーブルやインテリアを飾り整えることは、相手を想う心を表現するということ。ウェルカムという気持ちを込めてデコレーションしました」と微笑む甘露寺さん。華やかなしつらいの一つ一つに目を向けてみると、幸せへの願いとともに、積み重ねてきた歳月を愛しむ心が感じられます。
サンフランシスコ郊外で暮らしていた70年代から集めているというオーナメントコレクションから、幅広い年代のものを取り交ぜてツリーをデコレーション。子や孫から贈られたカードがともに飾られ、そこに綴られている感謝の気持ちや健康を祈る言葉に心温まる。
「クリスティーナ」製など、繊細な手仕事が光るオーナメント。
なかでもひときわ家族の歴史を物語っているのがクリスマスツリー。毎年少しずつ集めてきた煌びやかなオーナメントと一緒に、「ちょっとしたメッセージも私にとっての宝物」と大事に保管している子どもや孫たちから贈られたカードを吊るしました。
ショパンが愛したことで知られるプレイエル社のアンティークピアノの上には、黒い衣装を纏ったハンドメイドのサンタクロース、かつて旅先で見つけた人形、子どもたちから贈られた置物などが並ぶ。
皆で飾りつけをするうちに、当時は幼すぎて書いた当人さえ覚えていないほど昔のカードも出てきて思い出話に花が咲きます。さらにピアノの上にも、懐かしい記憶を呼び起こすクリスマスアイテムを飾りました。