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クリスマスに愛でる日本の名教会建築──キリシタンの聖地・長崎の「カトリック田平天主堂」へ

2024.12.10

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〔特集〕心洗われる日本の名教会建築 日本中の街や家庭がクリスマス色に彩られる12月。聖夜の本来の意味に心を寄せ、教会建築を訪ねてみたいと思います。静謐で、厳か、そして祈りに満ちた聖なる空間に身を置くと、不思議と心が静まり、洗われるような気がします。災害や紛争が続き、安寧が得がたい今、心の拠り所を祈りの空間に求めます。前回の記事はこちら>>

特集「日本の名教会建築」の記事一覧はこちら>>>

絶景の地に建つ、鉄川与助の煉瓦造最高傑作
カトリック田平天主堂(長崎・平戸)

明るいミントグリーンのペンキ塗りの各要所にゴールドがあしらわれている。約138坪、高さ約10メートルの広さに圧倒される。

キリシタンの聖地、長崎へ ──

1549年、イエズス会宣教師のフランシスコ・ザビエルが鹿児島に上陸。日本での布教を開始しました。時を経て現在、長崎県には全国最多の131ものカトリック教会堂があり、約6万人の信徒がいます。

今も昔も、日本随一の信仰の地といえる長崎において、教会堂建築を語るうえで欠かせない人物がいます。上五島出身の棟梁・鉄川与助です。


彼が設計・施工をした教会堂は戦前だけでも30ほど。うち5つの教会堂が国の重要文化財に指定、3つが世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産に登録されています。

鉄川与助は大工棟梁の家に生まれ、家業を手伝う中でフランス人のペルー神父に出会い、教会堂建築の道へと進みました。こうしてド・ロ神父ら外国人宣教師から学んだ西洋建築と、日本の伝統的な工法を掛け合わせ、風土に適した祈りの場を造り上げていったのです。

「命を懸けることができるものを持っている尊さ」── ミカエル中村 満神父

平戸瀬戸を見下ろす小高い丘の上に建つ「田平(たびら)天主堂」は、鉄川与助最後の煉瓦造りの教会堂です。ここ田平では、外国人宣教師らが長崎市の外海(そとめ)地区の貧しい信徒のために土地を購入し、移住を促したことをきっかけに人が増え、信徒たちの労働奉仕もあって1918年に「田平天主堂」が竣工しました。

周りにとうもろこし畑が広がる「田平天主堂」。土地に恵まれたことと、明治期まで海路が主な交通手段だったこともあり、港から目立つところに建てられた。

久賀島の出身のミカエル中村 満神父は「与助さんのそれまでの経験が凝縮されています」と話します。

イギリス積みを生かした装飾的な煉瓦、独自にデザインされた八角形ドーム型の鐘塔、3層構造の身廊部に、リブ・ヴォールト天井……。異国情緒漂う絶景の中に、“教会堂建築の父”の最高傑作が悠々とそびえ立っています。

少し黒い煉瓦が描く横ストライプのラインが建物全体にリズムを生んでいる。

敷地内には平戸瀬戸に面する墓地も。「教会の敷地内に墓地があるのは非常に珍しいです」と中村神父。

祭壇上部にある、日本二十六聖人をモチーフにしたステンドグラスの一枚。ドイツ製。

堂内に26ある椿と思われる花の装飾。「田平天主堂」は日本二十六聖人に捧げられた教会堂。

カトリック田平天主堂(カトリック田平教会)
住所:長崎県平戸市田平町小手田免19
TEL:0950(57)0254
ミサ時間:日曜9時~
見学の際は「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産インフォメーションセンター」 TEL 095(823)7650へ要事前連絡

(次回に続く。この特集の記事一覧はこちらから>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2024年12月号

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撮影/本誌・坂本正行

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