連載「言葉の道しるべ」1月 本当に必要なもの
選・文=佐藤可士和(クリエイティブディレクター)美大生の頃、近代建築の三大巨匠と言われるミース・ファン・デル・ローエの「LESS IS MORE.」という言葉に出会った。当時は、外面的なデザインとしてシンプルな方がよいということだと理解していたが、時が経ち様々な経験をするにつれて、余分なものを削ぎ落とし、本質を摑むことの大切さを説く、思考レベルの概念であることが分かった。実際に彼の建築のある空間に身を置くと、その考え方がより身体に染みわたる。
仕事のみならず、日々の生活でもこの言葉が教えてくれることは多く、僕は衝動買いはしない。本当に必要なものだけで構成された空間の方が、心が豊かになるからだ。
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