連載「千年の文様の教え」
1月「松」
選・文=八條忠基(「綺陽装束研究所」主宰)風雪に耐え、いつも変わらぬ常磐(ときわ)の緑を見せる松。それはいかなる困難にも負けることのない、末永い若々しさを象徴する吉祥の植物として、古来人々に愛されてきました。
若松(わかまつ)の丸(まる)
若松立涌(わかまつたてわく)
平安時代の貴族たちは、正月「子(ね)」の日に野に出て小松を根こそぎ引き抜く「子の日遊び」を楽しみました。「子の日」に「根延び」を掛け、長寿を祈ったのです。
老松(おいまつ)の丸(まる)
松唐草(まつからくさ)
貴族社会で装束や調度品などに用いられた「有職文様(ゆうそくもんよう)」でも、吉祥の松をモチーフにしたものが多く見られます。葉先の芽を強調した「若松」や、ごつごつとした根を張る「老松」など、文様が「世代」を表現することが多いのも、長寿の象徴・松ならではといえるでしょう。
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