連載「季節の香りを聞く」1月〈志野袋〉梅花
萬歳香(ばんざいこう)
わが君は千代に八千代に細石(さざれいし)の
巌(いわお)となりて苔のむすまで古今和歌集──読人知らず
選・文=蜂谷宗苾(志野流香道 第21世家元継承者)新年を迎えますと、志野流宗家では初聞香(はつもんこう)が行われ各地から多くの門弟が集まります。清々しい空気の中、千年以上にわたり日本人に愛誦されてきた歌を題材にした「萬歳香」を行うことが習わしとなっております。
聞き方は、「千代」「八千代」「細石」と称した香り(沈香) を、各自記憶に留めます。
次にその香りを三包ずつ用意し、更に試みの無い「巌」を一包加え、計十包打ち交ぜ炷(た)き出します。
銘々は試みの香りに合わせ、香りの順番を当てます。組香(くみこう)は、和歌・漢詩、物語などの古典文学、また花鳥風月や有職故実(ゆうそくこじつ)などをテーマに、香りと共に楽しみながら行う聞香形式の一つです。
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