名字365 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。
連載一覧はこちら>>
難読名字:朏(みかづき)
「朏」という難読名字があります。「月出」という漢字2文字の名字ではなく、「月偏に出」と書く1つの漢字です。通常みることのない漢字で、「難読」というよりは「難漢字」といった方がいいかもしれません。
現在の暦は、地球が太陽の周りを回る周期(太陽年=約365日)を基にして作られている太陽暦ですが、江戸時代以前の暦は、月の満ち欠けをベースとして太陽の動きも考慮に入れた太陰太陽暦を採用していました。
そのため、月の満ち欠けは日常生活と深く結びいており、毎月月初は必ず新月で、15日頃に満月を迎えます。以後次第に月は細くなり、翌月の頭には再び新月を迎えるのです。つまり、月の形と日付がほぼ一致していました。
新月の日には月は出ません。そして、最初に出た月はとても細く、まもなく縦に長い三日月の形になります。そこから、出たばかりの月=みかづき、ということで、「月偏」に「出」と書いて「みかづき」と読ませているのです。
現在は、関西から東海・関東にかけて点在しており、とくに愛知県の三河地方に多くあります。
森岡浩/Hiroshi Morioka姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
墨アート製作 書家・越智まみ(
https://esprit-de-mami.com/)
セブンアカデミーで越智まみさんの「オンライン書道」墨アートレッスンが開催中。詳細は
こちらから>>