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三河国をルーツとする古い一族です。名字博士が解説する「酒井」さん

2025.01.19

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墨アート製作/越智まみ

名字365 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。連載一覧はこちら>>

酒井(さかい)

「酒井」と聞いてまず思い浮かべるのは、江戸時代の譜代大名だった酒井家です。

酒井家は徳川(松平)家に代々仕えた譜代の家臣で、その祖は松平氏の祖親氏の庶子広親と伝えるなど、松平家の中でも特別な地位にある家でした。

そのルーツは三河国碧海郡坂井(現在の愛知県刈谷市)とも、同国幡豆郡酒井村(現在の西尾市)ともいいますが、いずれにしても三河国をルーツとする古い一族です。


家康の頃には、左衛門尉家と雅楽頭家の2つに分かれており、いずれも子孫は江戸時代に大名や旗本、各藩の家臣を多数輩出しました。

この一族があまりにも有名なため、「酒井」というとみなこの一族の末裔と思いがちですが、それ以外の酒井氏もたくさんあります。

古くは、豊前国宇佐郡酒井郷(現在の大分県宇佐市か)に因む古代豪族の酒井氏がおり、加賀国鹿島郡酒井保(現在の石川県羽咋市酒井町)をルーツとする酒井氏や、丹波国多紀郡酒井郷(現在の兵庫県丹波篠山市)をルーツとする酒井氏は、ともに鎌倉幕府の御家人でした。

こうして各地に酒井氏があったことから、現在でも東海地方から北陸地方にかけて多く、福井県永平寺町や富山県上市町のように、町の最多名字が「酒井」という町もあります。

なお、「酒井」地名とお酒にはおそらく直接の関係なく、「さかい」という地名に佳字(良い漢字)をあてたものでしょう。

森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。

墨アート製作 書家・越智まみ(https://esprit-de-mami.com/

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