ジュエリー見聞録 1月 宝石史研究家・山口 遼さんの解説で、素晴らしいジュエリーとその見どころをお届けします。
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堂々たるデザインと技に魅了されるジュエリー
解説/山口 遼(宝飾史研究家)
ジュエリーのデザインには、大別して2種類があります。デザインを見ただけで、作り手がわかるものと、わからないものの2つです。この「ハリー・ウィンストン」の作品は、一見しただけでわかります。そのデザインの端正さ、素材の素晴らしさ、どれをとってもハリー・ウィンストンならではのもの。
エメラルドを6個と、よくもまあ色を揃えたものです。そして、ダイヤモンドはラウンドでなくペアシェイプのものを吊り下げるという大胆なデザイン……。いかにもダイヤモンドを最も得意とするハリー・ウィンストンらしいですね。
ジュエラーにとって、新しいデザインを創り出すことは難しいことですが、もっと難しいのは、手慣れた既存のデザインを使いながら、新しさを加えること。このネックレスが優れているのは、全体が白い中での金の使い方です。エメラルドを留めている金の爪、緑色の石の上にそっと乗った2本の細い金、黄色と緑色という、良く合う色合いが絶妙です。
もう一つ、ダイヤモンドをペアシェイプやマーキースカットのように縦長にカットしますと、石の中央に不思議な横線が浮かび上がり美しさを損ないがちなのですが、それがどの石にも見えない、いかにもハリー・ウィンストンならではの見事なカットということです。シンプルながら、凄みのあるネックレスです。
美しさを極めたエメラルドとダイヤモンドの共演エレガントなダイヤモンドの連なりに、色鮮やかな大粒のエメラルドが目を引くネックレス。巧みにカットされた最高の石が、存在感のある輝きを放っています。その上品で洗練されたデザインは、唯一無二の美しさです。ネックレス(Pt×YG×エメラルド計約30.58ct×ダイヤモンド計約60.04ct)4億6101万円(参考価格)/ハリー・ウィンストン(ハリー・ウィンストン クライアントインフォメーション) TEL:0120-346-376