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顔面けいれんを、中医伝統鍼灸に基づいて治療。城内孝介先生(東洋医学研究センター 早稲田はりきゅう院)

2024.12.18

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新世代の鍼灸師に訊く 第13回(1)鍼灸院は「未病を予防する」ことから「病気を改善する」ことまで守備範囲が広く、身近な健康アドバイザーとしてもっと活用したい医療施設の一つです。前回の記事はこちら>>

更年期から起こりやすいトラブルの予防法・解決法「片側顔面けいれん」

城内孝介先生(東洋医学研究センター 早稲田はりきゅう院)

東洋医学研究センター 早稲田はりきゅう院 院長 城内孝介(しろうち・こうすけ)先生 1980年、静岡県生まれ。柔道整復師として活動する中で鍼灸の威力に感動し、鍼灸師の道へ。鍼灸専門学校在学中から中医学治療の第一線で活躍する鎌田剛先生、九鍼の第一人者である石原克己先生に師事。卒業後はWHO上海国際鍼灸養成センター指導教官だった呉澤森先生の治療院で研鑽を積む。訪問鍼灸を中心に臨床に従事した後、2024年1月に開業。

東洋医学研究センター 早稲田はりきゅう院 院長 城内孝介(しろうち・こうすけ)先生 1980年、静岡県生まれ。柔道整復師として活動する中で鍼灸の威力に感動し、鍼灸師の道へ。鍼灸専門学校在学中から中医学治療の第一線で活躍する鎌田剛先生、九鍼の第一人者である石原克己先生に師事。卒業後はWHO上海国際鍼灸養成センター指導教官だった呉澤森先生の治療院で研鑽を積む。訪問鍼灸を中心に臨床に従事した後、2024年1月に開業。

中医伝統鍼灸の理論をもとに全身状態を把握し、体調に合わせた経穴・経絡への施術で改善に導く

東洋医学研究センター早稲田はりきゅう院院長の城内孝介先生は、中医伝統鍼灸の理論に基づいて症状や病気の原因を見定め、根本から治療することを信条としています。

「前職は柔道整復師で、解剖学を中心とした西洋医学に基づいて診療していたので、鍼灸の勉強を始めたとき、東洋医学の理論がよく理解できませんでした。そこで、理論を図式化し自分なりに解釈しているうちに面白くなってきて、探究心が高まっていきました」。

鍼灸専門学校で始めた「弁証論治(べんしょうろんち)(症状と問診から中医学的診断を行い、治療法を検討すること)」は、現在の鍼灸治療の基盤となり、城内先生はさらに腕に磨きをかけています。


四診のうち、問診から得る情報(日常生活の状況や健康状態など)が8割を占めるため、初診の問診は40分ほどの時間をかける。

四診のうち、問診から得る情報(日常生活の状況や健康状態など)が8割を占めるため、初診の問診は40分ほどの時間をかける。

肝の働きがストレスで乱れ、内風(けいれん)が発生する

顔面けいれんは、自分の意思とは無関係に顔面(目の周りや口角部など)の片側がピクピクと動く病気です。奇形を起こした脳動脈が顔面神経に触れたり、脳に発生した腫瘍が顔面神経を圧迫したりするほか、自律神経の乱れも原因になるといわれています。また、顔面麻痺の後遺症として発症することもあります。

「当院を受診される顔面けいれんの患者さんの多くは更年期世代の女性で、その背景には強いストレスがあり、高脂血症を併存している傾向もみられます」。

顔面けいれんには胃経を使い、けいれんが起こっていないほうの顔(中)と足(左)の経穴を鍼で刺激し、気血を動かす。

顔面けいれんには胃経を使い、けいれんが起こっていないほうの顔(上)と足(下)の経穴を鍼で刺激し、気血を動かす。

顔面けいれんには胃経を使い、けいれんが起こっていないほうの顔(中)と足(左)の経穴を鍼で刺激し、気血を動かす。 この病いの症状を中医学的に捉えるとけいれんは「内風」といわれ、その発生には五臓(肝・心・脾・肺・腎)のうち、肝が深く関与していると考えられています。「顔面けいれんの人にはときに“肝火上炎(かんかじょうえん)”といわれる状態がみられます。強いストレスを受けると、肝気がうっ滞してイライラしやすくなります。この状態が続くと、緊張が高まり、肝火上炎へと発展し、“肝風内動(かんふうないどう)”といって、内風を生んでしまうのです」。

また、肝には血を貯蔵したり気の巡りを調整したりする働きがあります。貯蔵された血が少なくなると情動の揺らぎを抑えきれなくなってイライラが爆発し、肝陽上亢(かんようじょうこう)の状態に陥りやすくなります。

「そもそも女性は月経によって肝陰血が足りなくなり、情動の揺らぎが起こりやすいという特性があります。そこに、睡眠不足や過労が重なると陰血がさらに減少して、相対的に肝陽が亢進すると内風を生み、顔面けいれんを起こしやすくなるのです」。

個々の体調に合わせて背中に灸をすることも。免疫機能を高め、自律神経を整える。

個々の体調に合わせて背中に灸をすることも。免疫機能を高め、自律神経を整える。

ストレスによる後頭部や肩の強い緊張は鍼で和らげる。使用する鍼は、その人専用で衛生面にも配慮する。

ストレスによる後頭部や肩の強い緊張は鍼で和らげる。使用する鍼は、その人専用で衛生面にも配慮する。

気血が多く巡る胃経を刺激しより大きな効果を得る

内風を引き起こす原因には、患者さんを取り巻く日常生活が大きく影響しているため、治療に際しては「四診」といわれる東洋医学の診察法を用いて、個々の状態を診察し、まず証を立てます。そのうえで、西洋医学的な診断も考慮しながら、患者さんの体調に合わせて効果的な経穴(ツボ)や経絡※を選んで施術します。

※経絡とはエネルギーが流れる通路のことで、胃経もその一本。

「治療には胃の経絡を使います。表情筋の周辺には胃経の経穴(承泣(しょうきゅう)、四白(しはく)、地倉(ちそう)、頭維(ずい)など)が多く点在しているからです。気血が多く巡る胃経を刺激し気血を大きく動かすことでより大きな効果が得られます」。また、肝風内動を改善するには、足にある肝の経穴である太衝(たいしょう)を刺激して肝の気を下げたり血を補ったりすることも行います。このような治療を続けながら日常生活を見直し、その人の状態を正常に戻すことで気血が巡るようになると、自己治癒力で治そうとするようになり、顔面けいれんも改善していくといいます。

「顔面けいれんを治すには手術しかないといわれた重症患者さんに週2回の施術を半年ほど行うと症状が落ち着いてきて、初診から9か月経った現在は来院時に比べて80パーセントまで回復してきたと患者さん本人が実感されています」。

同時に城内先生が回復の過程で大事にしているのが傾聴です。「自己治癒力を引き出すには、いかに自分の病気を受容しているかということが重要です。患者さんの話をよく聞いて、その手助けもできる鍼灸師になりたいと願っています」。

診療案内

東京都豊島区高田1-26-6
TEL:080-9204-5371 予約制
診療時間/月曜・水曜・金曜 9時30分~20時、土曜9時~20時
休診日/火曜・木曜・日曜
診療費/初診料2200円、鍼代1100円、片面鍼灸 4400円、全身(両面)鍼灸6600円
https://www.shirouchi-tyuui-shinkyu.com/

早稲田はりきゅう院

※次回へ続く。

連載「新世代の鍼灸師に訊く」の記事一覧はこちら>>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2025年01月号

家庭画報 2025年01月号

撮影/本誌・大見謝星斗 取材・文/渡辺千鶴

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