〔特集〕今様おせちと美酒で乾杯 栗原心平 我が家のごちそう正月 伝統的なおせちのあれこれをこしらえるのもよし、お気に入りの料理店の品を選ぶもよし。一年の幕開けを祝う家族の食卓は、実に多様化しています。「家族を幸せにする」をモットーに親しみやすく、作りやすい料理レシピで大人気の料理家・栗原心平さんに、祖母と母から受け継ぐおせちと今の時代に喜ばれる新年のご馳走を教わります。
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栗原家のおせち定番の味、新しい味
「お重に詰めず、大きなプレートと大皿に料理を並べ、お煮しめはそれぞれが好みを盛り分けます。酒器と花で華やかに」と心平さん。 箸置き/阿部春弥・阿部みか
祖母から母、母から子、そして子から孫へと継がれる“家の味”。その最たるものがおせちではないでしょうか。とはいえ時代も暮らしも変わる今、新しいおせちの在り方も探ってみませんか。
栗原心平(くりはら・しんぺい)料理家・栗原はるみを母に持ち、自身も幼い頃から得意だった料理の道に。「ごちそうさまを通じて家族を幸せにする」をモットーに、雑誌やテレビなどメディアでレシピを提案している。『栗原家のごはん』シリーズ、『栗原心平のキッズキッチン』ほか著書多数。一児の父。
「我が家のお正月はおせちとお酒と箱根駅伝」
小学校2年生の頃には、毎週日曜の朝食を任されていたという栗原心平さん。料理家・栗原はるみさんの英才教育?と思いきや、「いえいえ(笑)。両親と姉の四人家族でしたが、休日は僕が一番早く起きており、必然おなかが空くため作りはじめ、それが習慣となりました」。
つい先日、はるみさんのキッチンでのシーン。写真/本人提供
最初は卵料理やチーズトースト、キャベツのコンビーフ炒めなどを。小学校の高学年になると、父、栗原玲児さんの好物であるミニッツステーキや焼きそばなどを作るようになったそう。
「両親とも台所に立っていましたが、料理の手順を教わることはありませんでした。レシピ本を見て作ったこともほとんどなく。見た目や味で作り方を推測しトライ。わからないところを母や父に訊き、徐々に自分のものにしていった。常に食材に溢れている家庭だったからできたのかもしれませんね」
心平さんの誕生を祝した家族写真。父の玲児さん、母のはるみさん、姉の友さんとともに。『栗原家のごはん』(大和書房)より
幼少期の心平さん。『栗原家のごはん』(大和書房)より
家族で食卓を囲み、食後もゆっくり団欒するのが当たり前に育ったためか、大人になった今も、お正月だからといって特段気を張ることはないそうで。「30日に母と買い出し、31日に家族でおせち作り。元日はのんびりと過ごし、2日は箱根駅伝。ごく普通のお正月です」。