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栗原心平さんと考えた今ごのみのおせち 「甘すぎず、酸っぱすぎず大人も子どもも手が伸びる味を」

2024.12.17

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〔特集〕今様おせちと美酒で乾杯 栗原心平 我が家のごちそう正月 伝統的なおせちのあれこれをこしらえるのもよし、お気に入りの料理店の品を選ぶもよし。一年の幕開けを祝う家族の食卓は、実に多様化しています。「家族を幸せにする」をモットーに親しみやすく、作りやすい料理レシピで大人気の料理家・栗原心平さんに、祖母と母から受け継ぐおせちと今の時代に喜ばれる新年のご馳走を教わります。前回の記事はこちら>>

・特集「栗原心平 我が家のごちそう正月」の記事一覧はこちらから>>

栗原家のおせち定番の味、新しい味

「お重に詰めず、大きなプレートと大皿に料理を並べ、お煮しめはそれぞれが好みを盛り分けます。酒器と花で華やかに」と心平さん。 箸置き/阿部春弥・阿部みか

「お重に詰めず、大きなプレートと大皿に料理を並べ、お煮しめはそれぞれが好みを盛り分けます。酒器と花で華やかに」と心平さん。 箸置き/阿部春弥・阿部みか 祖母から母、母から子、そして子から孫へと継がれる“家の味”。その最たるものがおせちではないでしょうか。とはいえ時代も暮らしも変わる今、新しいおせちの在り方も探ってみませんか。

心平さんと考えた、今ごのみのおせち
「甘すぎず、酸っぱすぎず大人も子どもも手が伸びる味を」

「おせち」は新しい年を寿ぎ、家族の幸せと健康を願い用意する縁起物。器は“めでたさを重ねる”意を持つお重がつきものですが、「もっと自由でいいのでは」と心平さん。盛りつけはもちろんのこと、調理の手法も今様に工夫を凝らしました。


「とはいえ、奇を衒(てら)いすぎてはいけません。ですが普遍すぎても面白味がないので、ちょっとした工夫でおいしく楽しく味わっていただけたら」と、おせちの定番であるたたきごぼう、酢ばす、数の子に新たな風を吹かせるレシピを教えてくれました。

「レストランのシェフは、料理を作ってお客さんに召し上がっていただくことが仕事ですが、僕のような料理家は、提案したレシピをどなたにでもおいしく作っていただくことが使命です。いかに再現性の高い材料と手順にできるか。お正月に限らず何度も試していただき、みなさんの家庭の新しい定番になったら本望です」

家庭料理も多様化し、嗜好もさまざまな現代の食卓。大人も子どももおいしく味わえるよう、伝統のおせちの手法にアイディアを重ねたレシピをお届けします。

●たたきごぼう

家の繁栄を願う「たたきごぼう」は常備菜でもおなじみですが、しっかり焼くことで、香ばしさがプラスされ、お子さんも好む味わいに。

【材料(作りやすい分量)】

・ごぼう 150グラム
・片栗粉 大さじ1
・サラダ油 大さじ2
・〔A〕砂糖 大さじ1と1/2、みりん 大さじ1/2、醬油 小さじ1、白いりごま 大さじ1

【作り方】

(1)ごぼうは皮をよく洗い、麺棒でたたいて縦に割る。5センチ長さに切り酢水(材料外)に10分ほどさらし、水気を軽く拭き、片栗粉をまぶす。

(2)フライパンにサラダ油を熱し、(1)のごぼうを並べて中火〜中弱火で焼く。ときどき返しながら全面を焼き、ごぼうに火が入って焼き色がついたら取り出す。

(3)フライパンの油を拭き、〔A〕を入れて中火にかける。調味料が溶けてなじんだら、(2)を戻し入れ、からめるように炒め合わせる。

(4)しっかりとからんだらクッキングシートの上に広げてそのまま冷ます。きちんと冷えたら器に盛る。

●ハムの酢ばす

さっぱりと爽やかな風味が酢ばすの持ち味ですが、ハムを1枚はさんだ新感覚に。「高級なハムではなく薄いハムがおすすめ。おつまみ感覚でどうぞ」

【材料(作りやすい分量)】

・れんこん 200グラム
・ハム 60グラム
・みりん 100ml
・砂糖 大さじ1
・〔A〕酢 大さじ3、醬油 小さじ2、しょうがの絞り汁 小さじ1
・白いりごま…適量

【作り方】

(1)れんこんは皮をむき、薄い輪切りにして10分ほど水にさらしたのち、水気をきる。ハムは十字に4等分に切る。

(2)しっかりと沸いた湯にれんこんを入れて50秒ゆでる。ざるに上げ冷水にさらし、しっかりと冷めたら水気を拭く。

(3)小鍋にみりんを入れ、中火にかけて煮詰める。液量が2/3量ほどになったら砂糖を加える。砂糖が溶けたら火を止め、そのまま冷ます。

(4)(3)が冷めたら〔A〕を加えて混ぜる。

(5)れんこん2枚にハム1枚をはさみ、バットに並べ入れて(4)をかけ、落としラップをして冷蔵庫で一晩漬ける。

(6)器に盛り白いりごまをふる。

●数の子の粕漬け

「数の子はいつも同じ味で飽きちゃう、という声を聞きまして」と心平さんが提案するのは粕漬け。風味まろやかでなめらかな食感に。

【材料(作りやすい分量)】

・数の子(塩蔵) 180グラム
・〔A〕酒粕(練り) 200グラム、砂糖 大さじ1と1/2、みりん 大さじ1、味噌 小さじ1

【作り方】

(1)塩水(材料外)を作り、数の子を浸して一晩おく。塩抜きができたら、軽く洗って水気を拭き取る。

(2)密閉袋に〔A〕を入れ、よく混ぜ合わせる。そこに数の子を入れて一晩以上冷蔵庫で漬ける。

(3)数の子の酒粕を洗い落とし水気を拭いて、食べやすい大きさに切る。

●松風焼き風テリーヌ

鶏のテリーヌを松風焼きに見立て、実山椒をアクセントに。レバーはとにかく細かくたたくこと、材料を手でしっかり練ることが大切。

【材料(20×8×5センチのパウンド型1本分)】

・鶏レバー 100グラム
・ベーコン 100グラム
・〔A〕鶏ももひき肉 350グラム、長ねぎ(みじん切り) 40グラム、にんにく(みじん切り) 1/2かけ分、実山椒の佃煮 大さじ1と1/2、青のり 小さじ1、卵 1個、薄力粉 大さじ1、塩 小さじ1/2
・白いりごま 適量

【作り方】

(1)鶏レバーは包丁で細かくたたく。ベーコンは5ミリ角に切る。

(2)ボウルに(1)と〔A〕を入れ、粘りが出るまで手でよく混ぜ合わせる。

(3)パウンド型にクッキングシートを敷き、(2)を入れ、表面を平らにならし、白いりごまを表面にふる。

(4)170度に熱したオーブンに(3)を入れ、35分ほど焼く。

(5)オーブンから取り出して冷まし、粗熱が取れたら冷蔵庫で冷やす。

●百合根とからすみの茶碗蒸し

百合根と卵だけの潔い茶碗蒸しは、ほくほくとした食感とつややかな餡、たっぷりのからすみでゴージャスに。でき立てを召し上がれ。

【材料(4個分)】

・卵 2個
・かつおだし 300ml
・みりん 大さじ1
・塩 小さじ1/2
・百合根 90グラム
・〔A〕かつおだし 50ml、酒 小さじ1、みりん 小さじ1、醬油 小さじ1/2、片栗粉 小さじ1/2
・からすみパウダー 適量

【作り方】

(1)百合根をばらばらにして洗い、塩ひとつまみ(分量外)を入れた湯でゆでる。半透明になったらざるに上げ、水気を拭く。

(2)ボウルにかつおだしを入れ、卵を割り入れて泡立て器でよく混ぜる。みりん、塩を加えて混ぜ、ざるでこす。

(3)そば猪口やカップのような深めの器に百合根を等分数入れ、(2)を等分にして注ぐ。器一つずつにラップをかける。

(4)しっかりと湯気の上がった蒸し器に(3)を入れ、中火で15分ほど蒸す。

(5)小鍋に〔A〕を入れ、混ぜながら中火にかける。とろみがついたら火を止め、蒸し上がった(4)に注ぎ、からすみパウダーをふる。

栗原心平(くりはら・しんぺい)
料理家・栗原はるみを母に持ち、自身も幼い頃から得意だった料理の道に。「ごちそうさまを通じて家族を幸せにする」をモットーに、雑誌やテレビなどメディアでレシピを提案している。『栗原家のごはん』シリーズ、『栗原心平のキッズキッチン』ほか著書多数。一児の父。

(次回へ続く。この特集の記事一覧はこちらから>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2025年01月号

家庭画報 2025年01月号

料理/栗原心平 撮影/本誌・西山 航 スタイリング/肱岡香子 取材・文/山﨑真由子

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