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つらくて不安なあなたに伝えたい「私の介護体験」。連載第1回 新田恵利さん

2025.01.08

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母の明るさに助けられた。母の頑張りが嬉しかった

ひで子さんの“能天気で明るい性格”にはずいぶん助けられたといいます。たとえばある日のシモのお世話。「おなかの調子が悪かったのか、オムツの中が“土砂崩れ”! 思わず顔をしかめた私を見て母は笑いが止まらず『そんなに臭い?』。つられて私も笑い出し『当たり前でしょ!』。失敗も恥ずかしい出来事も、笑い飛ばした瞬間に笑い話に変わるのだと学びました」。

一日に何度も「ありがとう」「仕事で疲れているのに悪いね」と感謝や労いの言葉をかけてくれたことも励みになったといいます。さらに新田さんを喜ばせたのは母の頑張る姿。

2015年、リハビリ入院中の母を見舞う恵利さん。「つかまり立ちができるようになった、と見せてくれました」。写真提供/新田恵利さん

2015年、リハビリ入院中の母を見舞う恵利さん。「つかまり立ちができるようになった、と見せてくれました」。写真提供/新田恵利さん

「40日間のリハビリ入院を行い、なんと要介護4(日常生活のほとんどに介護が必要な状態)から1段階軽い要介護3に改善したのです。これは滅多にないこと。寝返りも打てなかった母が、自力でベッドから車椅子に移動できるようになりました。“何としても一人でトイレに行きたい”という母の執念と努力の賜物ですね」。


介護に明け暮れる新田さんに、あるとき大きな転機が訪れます。ふと、天から降ってきたように「これは“母のため”じゃない、“自分のため”の介護なんだ」と気がついたのです。「それまでは親孝行しよう、母のために頑張ろうと一生懸命でしたが、どこかに無理があったのでしょう。違う、私が後悔しないための介護なんだとわかったら、噓のように楽になり、語弊があるかもしれませんが、介護が楽しくなってきた。“母が寂しいから”ではなく“寂しい思いをさせて、後悔しないの?”と自分に問いかけたら、疲れていても難なく母の部屋に足が向かうのです。フットワークって、気の持ちよう一つで軽くなるのですね」。

忘れられない会話
2021年元日の朝、ベッドの上の母と

母「恵利ちゃん、あけましておめでとう。今年ももう少し面倒見てね」

恵利さん「喜んで!」
──自然に出てきた「喜んで!」の言葉に自分でもびっくりしました。今まで同じことをいわれても、私は、ただ「うん」としか答えませんでした。このときは、もう別れのときが近いことを感じていて、心から「もっと母をみたい」と思ったのでしょう。この年の3月に母は亡くなりました。

取材・文/浅原須美

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