〔特集〕今様おせちと美酒で乾杯 栗原心平 我が家のごちそう正月 伝統的なおせちのあれこれをこしらえるのもよし、お気に入りの料理店の品を選ぶもよし。一年の幕開けを祝う家族の食卓は、実に多様化しています。「家族を幸せにする」をモットーに親しみやすく、作りやすい料理レシピで大人気の料理家・栗原心平さんに、祖母と母から受け継ぐおせちと今の時代に喜ばれる新年のご馳走を教わります。
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新年を美酒で寿ぐ
心平さんといえば......酒類全般なんでもござれ、酒と料理が寄り添うおつまみも得意技。新年を祝うにふさわしいシャンパーニュ、日本酒、クラフトビールに合うご馳走を。
個性豊かなクラフトビールとともに
昨今、台頭めざましいクラフトビール。ご当地色溢れるものから、素材に凝ったものまでさまざまなブルワリーがあり、旅先で目当てにする方も多いことでしょう。心平さんも出張や取材で訪れては試しているそう。
「お正月だからこそ、ふだんは味わえない地方の個性派がいいですよね。ぐびぐび飲み干したいですから、お料理もしっかりとした味つけ、中国料理風にしました」。
「クラフトビールは、取材や旅先の地元酒場で教わることが多いですね。ビールのおいしさを堪能したいので、きちんとグラスに注いでいただきます」左から、KOKU NO CRAFT 柚子エール/三和酒類 辛島 虚空乃蔵 Ray's milk stout/ビーイージーブルーイング AMAMI GARDEN パッションウィートエール(赤)/奄美はなはなエール
ひき肉好きの栗原家では、中学生の御子息も好物という肉だんごを。「煮込んでもいいですが、揚げることで風味と歯応えを高めます。そして花椒(ホアジャオ)をきかせた春巻き、茶葉の香りが食欲を刺激し、からだにもやさしいチャーシューを」。
●甘酢肉だんご
細かく刻んだしいたけを忍ばせて歯応えにアクセントを加えた肉だんご。カラッと揚げ、甘酢餡にからませて。
【材料(10個分)】<肉だんご>
・〔A〕豚ひき肉 300グラム、長ねぎ(みじん切り) 40グラム、生しいたけ(みじん切り) 25グラム(1枚)、卵 1個、薄力粉 大さじ1、塩 小さじ1/3
・片栗粉 適量
・揚げ油 適量
<甘酢餡>
・〔B〕かつおだし 100ml、醬油 大さじ1と1/2、みりん 大さじ1/2、砂糖 大さじ1/2
・酢 大さじ1
【作り方】(1)<肉だんごを作る>ボウルに〔A〕を入れ、粘りが出るまで手でしっかりと混ぜ合わせる。10等分にして丸くまとめ、片栗粉をまぶす。
(2)揚げ油を170度に熱し、(1)を揚げる。きつね色に揚がったら網にとって油をきる。
(3)<甘酢餡を作る>小鍋にBを入れて中火にかける。沸いたら酢を加え火を止める。
(4)(3)に(2)の肉だんごを入れ、中火にかける。肉だんごと甘酢餡をからめながらひと煮立ちさせ、しっかりとからんだら火を止める。
●牛肉と大根の花椒春巻き
やや細めサイズで、気軽にポイッと頬張れる春巻きは、芳醇な味わいの牛肉と大根を巻き、しょうがや花椒をきかせた大人味。
【材料(作りやすい分量)】・牛もも肉(薄切り) 200グラム
・大根 200グラム
・塩 小さじ1/2
・生しいたけ 30グラム
・しょうが(せん切り) 1かけ分
・〔A〕醬油 大さじ2、酒 大さじ1、みりん 大さじ1、オイスターソース 大さじ1/2、 砂糖 小さじ2、花椒(すっておく) 小さじ1
・ごま油 大さじ1/2
・春巻きの皮(小) 10枚
・薄力粉、水 各少々
・揚げ油 適量
【作り方】(1)牛肉は5ミリ幅に切る。大根は5センチ長さの細いせん切りにして塩をまぶし、10分ほどおいて水気を絞る。しいたけは軸を取り、薄切りにする。
(2)フライパンにごま油を熱し、牛肉を中火で炒める。肉に半分ほど火が入ったら大根を加えて炒め合わせる。
(3)油が回ったら、しいたけ、しょうがを加えてさらに炒め合わせる。しいたけがしんなりとしたら〔A〕を加えてしっかりと炒め合わせ、汁気が完全になくなったら火を止めて冷ます。
(4)春巻きの皮を広げ、(3)を10等分にし、皮の手前にのせる。端を折り込み、手前からくるりと棒状に巻き、薄力粉と水を混ぜ合わせたものをのりにして閉じる。
(5)揚げ油を170度に熱し、(4)を揚げる。カリッときつね色になったら取り出し、油をきる。
●烏龍チャーシュー
かたまりでじっくり煮込むチャーシューは、手間暇かかるようで実はお鍋に任せられるレシピ。茶葉も一緒にいただくので、ちょっとよい茶葉を選んでみては。
【材料(作りやすい分量)】・豚肩ロース肉(ブロック) 400グラム
・〔A〕水 600ml、醬油 大さじ2、紹興酒 大さじ2、みりん 大さじ1、オイスターソース 大さじ1/2、砂糖 大さじ1と1/2、茶葉(烏龍茶) 5グラム、にんにく(半分に切る) 1かけ、しょうが(半分に切る) 1かけ、八角 1個
・白髪ねぎ、和辛子 各適量
【作り方】(1)フライパンを中火で熱し、豚肉の脂を下にして焼きつける。焼き色がついたら返して焼き、全面を焼きつける。
(2)厚手の鍋に〔A〕を入れ、中火にかける。沸いたら(1)を加え、ふたをして(少し隙間を空ける)弱火で50分ほど煮る。
(3)ふたを外して中弱火にし、煮汁にとろみがつくまで5分ほど煮る。火を止め、再びふたをして冷めるまでおく。
(4)冷めたら食べやすい厚さに切り、器に盛る。茶葉、白髪ねぎ、和辛子を添える。
栗原心平(くりはら・しんぺい)料理家・栗原はるみを母に持ち、自身も幼い頃から得意だった料理の道に。「ごちそうさまを通じて家族を幸せにする」をモットーに、雑誌やテレビなどメディアでレシピを提案している。『栗原家のごはん』シリーズ、『栗原心平のキッズキッチン』ほか著書多数。一児の父。
(次回へ続く。
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