前回、「腎臓」の働きと、日常生活での注意点をご紹介しましたが、東洋医学の五行説に基づく「腎」とは、いったいどういうものでしょうか。更年期症状や不安感をやわらげる方法をお聞きしました。※この記事は、発売中の『からだにいいこと』2025年2月号より一部抜粋・再編集しています。
教えてくれたのは…大野沙織さん
「東洋医学で『腎』は生命そのものといわれます」と、鍼灸師の大野沙織さん。
腎は気(生命エネルギー)と水(血液や体液)をコントロールし、成長や発育、生殖に関係するため、弱るとさまざまな不調が出ます。
特に40代以降の女性は、腎の働きが低下することで更年期の不調が強く表れることも。
▼下グラフ〔腎のエネルギー量の変化(女性)〕
腎のエネルギーは30代から減る
東洋医学の考えでは、腎のエネルギー量は30代から年々減り、60代ではピーク時の約半分に。40代で疲れや不調が出たり肌や髪の衰えを感じるのもその影響。
気が巡らず息苦しさや冷えが
下半身の気をつかさどる腎が弱ると下半身に気が巡らず、足腰が冷えがちに。また、気が巡りきらずに上がってきてしまうため、呼吸器疾患の原因にもなります。
「腎が弱い人は疲れやすかったり不調が出やすかったりします。しかし、生活習慣や働き方を見直すなどといった腎をいたわるセルフケアをすることでエネルギーの低下を抑え、元気を取り戻すことができます。腎が弱っている人は疲れる行動は控えたほうがよいため、さするだけで気が巡る『ソフトさすり』(下)がおすすめです」(大野さん)。
体全体の気を調整し、自律神経のバランスを取るテクニック。ストレスの多い人にもおすすめ。
〔やり方〕首の後ろから前へかけてさする
首の後ろから後頭部、おでこにかけて、片方の手のひらで一方向にさする。力を入れずフワーッと優しく。これを数回繰り返す。
◆ブラシを使ってもOK
婦人科系の疾患や、更年期に関係が深いとされる経絡に働きかけます。
〔やり方〕下腹部から上へ向けてさする
おへその下あたりからみぞおちまで、片方の手のひらで一方向にさする。頭と同様に力を入れず優しく。これを数回繰り返す。
・力がいらず疲れない
ストレスは腎の大敵。やりにくく続けにくい方法では逆効果。「ソフトさすり」は力も面倒な準備も不要です。
・筋肉がゆるみ血流がアップ
優しくさすって筋肉がゆるむと、毛細血管が丸くなって、血流アップが期待できます。その結果疲れや痛みの軽減に。
・経絡(けいらく)刺激で気が流れる
皮膚をなでるだけの「さすり」には“刺さない鍼”のような効果が。わずかな圧でも経絡が刺激され、気が流れやすくなります。
「頭さすり」は自律神経とほぼ同じ走行ラインの経絡「督脈(とくみゃく)」を、「お腹さすり」は子宮から出て体前面を通る「任脈(にんみゃく)」を刺激して気を巡らせます。
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『からだにいいこと』2025年2月号
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この記事は、『からだにいいこと』2025年2月号の内容を抜粋・再構成したものです。監修/大野沙織 イラスト/多田景子