連載「12か月のフラワーリース」 世田谷区にアトリエを構える「宙花(そらはな)」のフローリスト戸部秀介さんが作る、季節のフラワーリースを毎月紹介します。空間を華やかに彩ってくれるフラワーリースと共に、花のある暮らしを始めましょう。
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1月のリース「カスミソウのリース」
カスミソウの白に、ダスティーミラー(シロタエギク)の白い葉をあわせた純白のリースです。清楚でフレッシュな印象は、新年の気分にぴったりだと思います。金属製リースベースを利用し、平面的にならないように内側にも花を加え、きれいなかまぼこ状になるように1本ずつワイヤーで巻いて固定しています。
戸部秀介/Shusuke Tobe35歳の時にフローリストへと転身。大手生花店、フランス人フラワーデザイナーの店で経験を積み、2016年に東京都世田谷区の中町に「宙花〜sora hana~」をオープン。リースを得意とし、ワークショップにも力を注ぐ。インスタグラム@sorahana.jp
純白のリースで気持ちあらたに一年を始める
お正月飾りをはずし、さて、次はどんなリースを飾りましょうか?新たな気持ちでのスタートを表現するなら、清楚な白いリースもよいと思います。いろいろな白い花がありますが、そのまま飾って自然にドライにしやすいのはカスミソウです。そこで、今回はカスミソウをたっぷり使ったリースをご紹介します。
以前のカスミソウと異なり、最近の品種は改良が重ねられ、花サイズが大きく、花弁の枚数も多くなりボリューム感がぐっと増しています。花付きもよく、花色の純白がより目立つようになり、ウエディングのシーンでもカスミソウは大人気です。
リースによく利用するスターチスは花がカチッとした印象ですが、カスミソウはふんわりとやわらかなイメージで、優しく、どことなくあたたかみが感じられるような気がします。カスミソウはよく分枝しているので、切り分けて使えるのですが、花色の白の印象をよりアピールするには、花を内側まで密に入れていくのがポイントで、カスミソウをメインにしたリースを作るとけっこうな本数が必要になるんですよ。また、茎の色で暗くならないように、仕入れる際には茎色が明るくきれいなものを選ぶように気をつけています。
カスミソウは一つ一つの花が大きくなり、ドライになっても丸い粒状にきれいに残るので、長く飾って楽しめます。価格も高めで、実は高級な花なので、贈り花に利用するのもおすすめです。
2種のユーカリとコニファー‘ブルーアイス’。シルバーがかったシックな葉色を背景にすると、カスミソウの純白の花がより際立って見えます。木のつるで編んだリースベース(約20cm)を利用。ユーカリは1〜2月に出回るものがきれいなドライになりやすいので、カスミソウとの花合わせにもよく利用します。シンプルながらナチュラル感のあるリースは、どんなテイストのインテリアにもよく似合います。
カスミソウとスターチスの組み合わせで純白のリースを作りました。ダスティーミラーの白い葉をアクセントに加えています。花を見比べてみると、同じ白花でもカスミソウのやわらかさとスターチスのクールでかたいイメージの違いがわかると思います。その対比がこのリースのおもしろさでもあります。木のつるで編んだリースベース(約20cm)を利用。
前の写真のリースをアップでご覧くだい。切り花で出回るカスミソウはほとんどが八重咲きで、こんなに花サイズも大きくなっています。
カスミソウにスターチスの薄紫をアクセントとして加えてみました。上品でさわやかな雰囲気も新しい年が始まる気分によく似合うと思います。ユーカリの小さな葉も加えてナチュラルな雰囲気に仕上げました。木のつるで編んだリースベース(約20cm)を利用。
リースではありませんが、カスミソウのみを束ねたシンプルなブーケもご紹介します。内側にも花をたくさん入れ、ボリューム感を出しつつ、白い花色が目立つようにしています。リースでも整った形が好みの私は、ブーケを作っても整ったラウンド形になります。どんなデザインのドレスにもよくなじみ、主張しすぎないカスミソウのブーケは、ウエディングシーンでとても人気があります。