名字365 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。
連載一覧はこちら>>
高比良(たかひら)
2024年末のM-1グランプリで史上初の2連覇を達成した令和ロマンが、決勝のファーストラウンドでは「
渡辺」や「
齋藤」「
青木」を使った名字ネタを披露していました。そのネタに納得した人も多かったのではないでしょうか。
令和ロマンのボケを担当する高比良くるまさんの「高比良(髙※比良)」は本名です(名前の本名は直樹)。あまり聞いたことがないと思う人も多いでしょうが、実はメジャーな名字です。「たかひら」と読む名字は漢字では「高平」と「高比良」が多く、ともに名字ランキングでは3000位前後と「ごく普通の名字」なのです。
しかし、この2つの名字の分布は全く違っています。 「高平」は北海道から九州まで各地に点々とあるため、実際に会ったことがあるという人も多いでしょう。そして「高平」という地名も各地にあることから、「高平」はこうした各地の地名がルーツとなっています。
一方、「高比良」は全国の約6割が長崎県にあるという一点集中型の名字なので、長崎県以外の人は出会う可能性は少なそうです。さらに長崎県の中でも、その85%程が長崎市に集中しており、同市の旧三和町では町内で最も多い名字でした。
こうした一点集中型の名字は、その地にルーツがあります。長崎県では「たいら」という名字を「多比良」と書くことがあるほか、「比良(ひら)」という名字もあります。また「小平」という名字は長崎県ではほぼ「こひら」と読みます。
つまり、平地や盆地を指す「たいら」という言葉を、長崎県では「ひら」といい、それに「平」や「比良」という漢字をあてたのでしょう。とすると「高比良」とは「高い所にある平らなところ」を指し、そうした場所に住んだのが「高比良」さんだと考えられます。
※文字化け等で読めない方は下記を参照してください。
森岡浩/Hiroshi Morioka姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
墨アート製作 書家・越智まみ(
https://esprit-de-mami.com/)
セブンアカデミーで越智まみさんの「オンライン書道」墨アートレッスンが開催中。詳細は
こちらから>>