カルチャー&ホビー

【大人の絵本】の愉しみ方──美村里江さんの “心の友” となった絵本とは?

2025.01.16

  • facebook
  • line
  • twitter

〔特集〕心の渇き、悲しみ、迷いに効く 今、大人に届けたい絵本 「絵本は人生に3度。子ども時代と、親になったとき、人生後半に読んでほしいのです」とノンフィクション作家の柳田邦男さんは語ります。年齢を重ねたからこそ、絵本の根底にある深い意味がわかるようになり、人生を振り返るきっかけになるのだと。今、心が何かを求めている人、悲しみの中にある人 ──。大人になった今だからこそ絵本で心の潤いを取り戻し、生きる力の再生へとつながる出会いを体験してください。

特集「大人に届けたい絵本」の記事一覧はこちら>>>

毎月約50冊の絵本に触れる
俳優・美村里江さんが誘う絵本の愉しみ

俳優 美村里江さん(みむら・りえ)
埼玉県出身。俳優、エッセイスト。2003年ドラマ『ビギナー』で主演デビュー。ドラマ・映画・舞台などで幅広く活躍。俳優業の傍ら、新聞や雑誌などでエッセイや書評の執筆活動も行う。『ミムラの絵本日和』(白泉社)、『たん・たんか・たん』(青土社)など著書多数。


ワンピース/スタイリスト私物 イヤリング7万1500円 ネックレス(長)17万500円 ネックレス(短)16万5000円 リング13万9700円/すべてヴァンドーム青山(ヴァンドーム青山本店)

美村さんの “心の友” の絵本たち

※お買い求めはお近くの書店にお問い合わせください。

右から、
『ジャリおじさん』作・絵/おおたけしんろう 福音館書店 1100円
『新版 さびしがりやのクニット』作・絵/トーベ・ヤンソン 訳/渡部 翠 講談社 2200円
『レミーさんのひきだし』作/斉藤 倫・うきまる 絵/くらはしれい 小学館 1540円
『新版 ムーミン谷へのふしぎな旅』作・絵/トーベ・ヤンソン 訳/渡部 翠 講談社 1980円
『うろんな客』作・絵/エドワード・ゴーリー 訳/柴田元幸 河出書房新社 1100円
『ぼくがげんきにしてあげる』作・絵/ヤーノシュ 訳/石川素子 徳間書店 1708円
『もぐらとずぼん』作/エドアルド・ペチシカ 絵/ズデネック・ミレル 訳/内田莉莎子 福音館書店 1430円
『こんとあき』作・絵/林 明子 福音館書店 1430円。

年を重ねるごとに広がっていく、絵本の魅力と愉しみ方

今でも月に50冊の絵本を読むという美村里江さん。幼い頃に芽生えたその絵本愛は衰えることなく、大人になった今も、その奥深さに魅了され続けているといいます。

そんな美村さんが出会った多くの絵本の中でも、「人生の指南書」になったというほど愛してやまない一冊が『もぐらとずぼん』。主人公のもぐらが、欲しいズボンを手に入れるため、その作り方を学び、ズボンを作り上げるお話です。

「最後は完成したズボンを履いて、にっこり笑うもぐらくんの自己満足で終わるんです」と美村さん。

この絵本に出会った幼少期の美村さんは、自分の幸福をひたすら追求し、実現するもぐらくんにものすごく憧れたのだそう。そして、大人になってからは、子ども時代に強く惹かれたこの絵本と自分を照らし合わせることで、「自分は物を知ることが好きなんだ」「何でも自分でやってみたいと思っているんだ」などの自己発見にもつながったといいます。

「子どもの頃に好きだった絵本を辿ると、自分の幸福感の持ち方や、何に愉しみを見出す性格なのか、発見があることも。子どものとき、最初に好きになった絵本は何だったかなと考えてみるのは楽しいですよ」。

「絵本からは大事なことを山ほど教わりました」

美村さんが開いている絵本『新版 それからどうなるの?』作・絵/トーベ・ヤンソン 訳/渡部 翠 講談社 2420円

ワンピース/スタイリスト私物 イヤリング15万1800円 ネックレス14万9600円 ネックレス(チェーン)14万3000円 リング21万1200円/すべてヴァンドーム青山(ヴァンドーム青山本店)

多くの絵本を読んでいる美村さんですが、好きなタイプの絵本はあるのでしょうか?

「子どもが異世界で不思議な体験をして、もとの世界に戻ると大人は何も知らないという展開の絵本が多いですが、『ムーミン』シリーズのように大人も騒動に巻き込まれる話はすごく好きです」

以前の芸名 “ミムラ” も、ムーミンに登場するミムラねえさんからとったという美村さん。「ムーミンは子どもの頃から大好きで、今も定期的によく読み返しては、毎回、新たな発見をして愉しんでいます」。

それから『ジャリおじさん』は鼻の先にひげが生えた変なおじさんが、「ジャリジャリ」いいながら歩く奇妙で楽しい絵本。 「こんな変なおじさんが主役でいいんだ! という絵本という媒体の自由闊達ぶりが伝わってきますよ(笑)」。

さまざまな絵本を自由な視点でのびのびと読む美村さん。絵本の愉しみ方もまた、人生を重ねた大人になるほど増えていくのかもしれません。

<これぞ人生の指針>
『もぐらとずぼん』

作/エドアルド・ペチシカ 絵/ズデネック・ミレル 訳/内田莉莎子 福音館書店 1430円
もぐらくんは、干してあった青いズボンを見て、同じズボンが欲しくなりますが、どうすれば手に入るかわかりません。えびがにやよしきり、かえるなどたくさんの動物に助けられながら、亜麻の草で生地を作り、色を染め、裁断や縫製をして、最後は素敵な青いズボンを手に入れます。

<弱ったときは自他に愛を>
『ぼくがげんきにしてあげる』

作・絵/ヤーノシュ 訳/石川素子 徳間書店 1708円
病気で倒れた小さなとらを、友達の小さなくまが一生懸命看病するのですが……。友達を思いやる気持ちをユーモラスに描く絵本。「病気になって少しわがままに振る舞うとらくんが可愛く、ちゃんと病院で治療を受けるオチも堅実なドイツらしく好きです」(美村さん)。

<大人になってわかった胸キュンストーリー>
 『こんとあき』
作・絵/林 明子 福音館書店 1430円
互いに相手を思う、ぬいぐるみの “こん” と女の子 “あき” の冒険物語。「昔と今で受け取り方が変わりました。子どもの頃は、2人がおばあちゃんの家に辿り着けるか、不安ばかり募ってしまう本で……。しかし大人になった今は、健気な2人にぐっとくる。名作です」(美村さん)。

(次回に続く。この特集の記事一覧はこちらから>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2025年02月号

家庭画報 2025年02月号

撮影/鍋島徳恭 スタイリング/松本人美(人物) 阿部美恵(静物) ヘア&メイク/荒井秀美 取材・文/森 麻子

  • facebook
  • line
  • twitter

12星座占い今日のわたし

全体ランキング&仕事、お金、愛情…
今日のあなたの運勢は?

2025 / 01 / 18

他の星座を見る

Keyword

注目キーワード

Pick up

注目記事
12星座占い今日のわたし

全体ランキング&仕事、お金、愛情…
今日のあなたの運勢は?

2025 / 01 / 18

他の星座を見る