〔特集〕美味が待つ冬の湯宿へ 日本人の冬の旅の原点──それは、大地から湧き出る温泉に浸かって心身を整え、日本各地に産する美味に舌鼓を打つこと。非日常を感じながらも快適に滞在できて、その土地が誇る自慢の料理に出合える温泉宿を、厳選してお届けします。
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山庭に抱かれながら露天風呂で過ごす贅沢なひととき
べにや無何有(むかゆう)【石川 山代温泉】
静かに雪が降り積もる山庭を眺め、心ほぐれる時間を。「べにや 無何有」の「特別室 白緑」の露天風呂にて。写真/深尾大樹
冬の訪れとともに、蟹の水揚げによって活気づく加賀温泉郷。加賀・山代温泉の中でも指折りの名宿として国内外のゲストを魅了してきたのが「べにや無何有」です。
2つの大浴場をリニューアル。そのうちの1つ、檜の白木造りの「薄香USUKŌ」の湯に浸かれば、薬師山の懐に入り込んだかのような心地よさ。檜の香りにも心身が浄められる。
露天風呂付き和洋室「エグゼクティブスイート」。外の自然と調和したしつらいも印象的。
「からっぽのなかの豊かさ」という思想が貫かれた宿は、薬師山の野趣溢れる山庭の景観を望み、全16室すべてに温泉露天風呂を備えています。2023年には大浴場を改修。シンプルな余白の美しさを生かした空間デザインの中、山代のとろりとした上質な湯に身を預ければ、身も心もほぐれていくようです。
石川県加賀市橋立漁港から仕入れた香箱蟹を見目麗しく盛り込み、土佐酢ジュレをきかせた「べにや無何有」のスペシャリテ「香箱蟹 琥珀ゼリー」。九谷焼や山中塗などの器づかいも見事。
テーブル横でスタッフが蟹のだしで炊いた釜炊きご飯に香箱蟹とずわい蟹の身を入れて程よく混ぜ込んで提供。からすみと三つ葉がアクセント。
生から焼き、半生の最もおいしい瞬間に提供されるずわい蟹炭火焼き。
甘みたっぷりのずわい蟹洗い。器は、宿のすぐ近くに店を構える須田菁華窯のもの。女将の中道幸子さんが目利きした器の取り合わせも見どころ。
お目当ての蟹料理は、ダイニング「懐石方林」にて、景観美とともに楽しめます。かつおだしをきかせた酢のジュレが味に深みを出す香箱蟹や、だしでしゃぶしゃぶするずわい蟹洗い、濃厚な蟹みその香りもご馳走の炭火焼き蟹、大きなゆでずわい蟹など、豪快さと繊細さを兼ね備えた美食の数々に胸が躍ります。
美しい緑や木々に誘われるようなエントランスのアプローチ。
べにや無何有住所:石川県加賀市山代温泉55-1-3
TEL:0761(77)1340
基本料金:1室2名利用で1泊2食付き1名6万6550円~ ご紹介した「エグゼクティブスイート」は同8万4700円~ タグ付き活ずわい蟹尽くしコースは1名4万7630円追加(予約は2名より) 蟹は3月20日まで 全16室 IN15時/OUT11時 未就学児不可
(次回へ続く。
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