今季の4年生について、田中悠登主将(4年)は大会前に「1人1人本当に個性が強くて、新チーム発足当初はまとめられるのかという不安もありました。でも、 みんな4年生としての自覚や、『自分がチームを勝たせたい』といった強い思いを持っていて、それぞれのやり方で動いてくれた。頼もしかったです」と話していました。
彼らとともに町田寮で生活する原監督の妻で寮母の美穂さんの目にはどう映っていたのでしょうか。「私はいつも『陸上部を大きな家族みたいにしたい』と話しているのですが、田中くんはそういう気持ちを強く持っているキャプテンだと思います。みんなでやることをやって、全員で勝ちにいこうという姿勢で、よくまとめてくれていました。寮長の若林くん(4年)も張り切っていましたね。彼らが学生たち全員を巻き込んで、『大手町で笑おう』というスローガンに向かって頑張る姿を見ていて、温かいチームだなと感じていました」。
主力の選手たちが暮らす町田寮は、昨年大きな変化がありました。約8か月かけて大規模な改築工事が行われたのです。「きれいになった寮に入るなり、学生たちは大興奮で、 『奥さん、ありがとうございました!』って言ってました。私がつくったんじゃないのにね」と美穂さんは笑いますが、実際のところ、改築工事の要となったのは美穂さんと伊藤雅一コーチ。2週間に1回ほどのペースで施工会社とミーティングを重ねたといいます。
「いくつか外せない希望がありましたが、一番は厨房でした。とにかく、あったかいご飯を食べさせてあげたいというのが、私の20年来の願いであり、学生たちの希望でしたから」。以前の厨房設備は大量調理をするには不十分だったため、朝晩の食事は専門業者が配達。「食べるまでに冷めてしまうので、3台あった電子レンジの前にはいつも温め直すための列ができていました。今はできたてでおいしくて、みんな大喜びです」。