〔特集〕早春の大和路を行く 古都・奈良の椿 椿は日本原産で、文字どおり春を告げる花木。『万葉集』で初めて「椿」という漢字が用いられ、平城京の宮殿や貴族の庭園に椿が植えられたと伝わります。今も「文化としての椿」を大切に守り伝える奈良の人々や古刹を通して、世界に誇れる日本の椿文化を見つめたいと思います。
前回の記事はこちら>>・特集「古都・奈良の椿」の記事一覧はこちらから>>
三名椿と椿名所を訪ねて──
奈良・名椿の古刹へ
古都に春を呼ぶ霊木として尊ばれた奈良の椿。「奈良三名椿」と呼ばれる名木をはじめ、大和路には数多くの椿の名所が残ります。
五色椿──白毫寺
高円山(こうえんざん)の西麓にある白毫寺は、眺望の素晴らしさで知られる古刹。ヤブツバキの生垣に覆われた石段を上りきった境内には、奈良三名椿として名高い樹齢およそ450年を誇る「五色椿」の古木が佇みます。
これは寛永年間に興福寺塔頭、喜多院から移植されたものといわれ、根元から80センチのところで幹が二つに分かれ、樹高は5メートルにもなる巨木です。
花は大輪の八重で、白、紅、紅白の絞りなど、色とりどりの花を咲かせることから五色椿と名づけられました。
また、五色椿の隣には、樹齢推定500年の樹形の美しいヤブツバキの名木も。白毫寺は古都・奈良でも屈指の椿寺といえます。
白毫寺(びゃくごうじ)住所:奈良市白毫寺町392
TEL:0742(26)33 92
花の見頃/3月下旬~4月上旬
(次回へ続く。
この特集の記事一覧はこちらから>>)