今月の舞台人:玉置玲央さん
「初対面の方に『本当はいい人なんですね』といわれたり、思いもよらぬところから取材や仕事のお話をいただくようになりました」
笑顔でそう話す玉置玲央さん。NHK大河ドラマ『光る君へ』の藤原道兼役で強烈な印象を残した実力派が、俳優11人によるスリリングなせりふ劇『Take Me Out』に出演します。2003年にトニー賞を受賞した作品で、日本初演は2016年。玉置さんは2018年の再演時に続いて二度目の出演となります。
メンバーや自分の変化がどう反映されていくか楽しみです
「みんな『早くまたやろうよ』といっていたんですが、コロナ禍があったり、演出の藤田俊太郎さんが忙しかったりで、7年を経てようやく念願が叶いました。でも、このタイミングでかえってよかったかもしれません。大谷翔平選手の活躍で、メジャーリーグの存在が前より身近になりましたし、性的マイノリティに対する意識も結構変わってきたと思うので」
というのも本作品は、同性愛者であることを公表したメジャーリーグの名選手と、そのチームを描いたもの。
「せりふにある『野球はメタファー』という言葉が象徴するとおり、いろいろな出自の選手がいるメジャーリーグという場を借りて、差別や宗教観や人種問題などを描き出しているんです」
そんな社会の縮図ともいえる作品で玉置さんが演じるのは、渦中の名選手の会計士となり、興味がなかった野球に魅せられていくメイソン。物語の語り手も担います。

「前回はメイソンという役に乗っかって、“この座組ならではの『Take Me Out』”を面白くクリエイトできた手応えがありました。僕ら自身も年齢や出自がバラバラ、しかも結構やんちゃで自由な人が多い座組で、一筋縄ではいかない人間たちの話をつくっていくのが面白くて(笑)。一度球場を借りて野球の試合もしたんですが、試合後の銭湯と食事も含めて本当に楽しかった。今回は僕らのほかに、オーディションで新たに選ばれた“ルーキーチーム”がいるので(東京公演のみ2チーム体制で上演)、ぜひ対戦したいですね」
劇団「柿喰う客」で早くから高いポテンシャルを発揮し、徐々に活躍の場を広げてきた玉置さん。2025年3月には40歳を記念して、書き下ろしのエッセイや自身が撮影した写真などを収めた初のフォトエッセイ集を出版します。素敵な幕開けとなりそうな40代。その最初の舞台にも期待が高まります。
「僕らのチームの顔ぶれも前回と半分以上変わっていますし、前回出た人の状況も変わっているので、作品づくりにどう反映されていくか楽しみです。この作品の本質的な部分や今回のクリエイションで届けたいことを、100%齟齬なく伝えられたらと思います」
玉置玲央(たまおき・れお) 1985年東京都出身。劇団「柿喰う客」の中心メンバーとして活躍し、劇団以外の舞台作品にも数多く出演。映画『教誨師』(2018年)で毎日映画コンクール スポニチグランプリ新人賞を受賞、2024年NHK大河ドラマ『光る君へ』で藤原道兼を好演するなど、近年は映像作品でも注目を集める。
※初の書籍『玉置玲央フォトエッセイ では、後ほど』(KADOKAWA)が2025年3月21日(金)に発売。
2025年3月22日(土)、東京・HMV&BOOKS SHIBUYAでトークイベント(抽選)+お渡し・サイン会を開催。
詳細は
https://lit.link/tamaoki1stにて。
舞台『Take Me Out』2025

©西村 淳
メジャーリーグのスター選手ダレン(章平)は、ある日突然、ゲイであることを公表。チームメイトのキッピー(三浦涼介)やダレンの会計士メイソン(玉置玲央)らは好意的だったが、チームのロッカールームは険悪な雰囲気に。試合にも勝てなくなっていき……。
作/リチャード・グリーンバーグ 翻訳/小川絵梨子
演出/藤田俊太郎 出演/玉置玲央、三浦涼介、章平ほか
有楽町よみうりホール2025年5月17日(土)~6月8日(日)
レジェンド公演 9800円 ルーキー公演 7800円ほか
※2025年3月9日10時より一般発売
チケットスペース TEL:03(3234)9999(10時~15時※休業日を除く)
※2025年6月14日(土)~29日(日)に名古屋、岡山、兵庫公演あり
URL:
https://takemeout.jp/