「自然の色彩が強くて、まさにエトロらしい柄物ですね。全身柄物、思いきり楽しみました(笑)」と天彦名人がいうように、カラフルでファンタジーなネイビーベースのプリント。ボタニカルや半鳥半魚などがちりばめられています。ポリウレタン混のコットンストレッチで動きやすいセットアップです。ジャケット18万6000円 パンツ8万6000円 シャツ5万3000円 靴12万6000円/ すべてエトロ(エトロ ジャパン)藤井聡太六段との対局を振り返って
そのあとのインタビューでも藤井聡太六段との対局の感想について、改めてお聞きしてみました。
――藤井四段(1月半ば当時。現六段)と対局してどのように感じられましたか?
「やっぱりすごくしっかりした、地に足の着いた将棋を指されるんだなと改めて思いました。それは事前の印象と変わらなかったです。
ただ、なんというか、藤井さんはいつも切れ味が鋭いといわれるのですが、今回僕と指した将棋では、より落ち着きを出されていた対局だったのかなという気はしますね。
そこは、今までの藤井さんのイメージとは少し違ったかもしれないです。今回のほうが落ち着きを顕著に感じました。
中盤戦の戦いが長かったのですけれど、藤井さんがよく見せている終盤の派手な踏み込みというよりは、ちょっと通が好むような、滋味溢れる手というか。
中盤では、水面下で相手の手を探り合うような将棋がメインだったので、そういう良さも持たれているんだなということがわかりました」
――中学3年生くらいだと、普通はなかなかそこまではできないものですか?
「なかなかどころかできないですよね、やっぱり(笑)。
落ち着いた性格であると同時に、技術的にもしっかりしたものを持っていなければならないので、あそこまでバランスよく整えられているのはすごいと思います。
若くから出てくる方は終盤の踏み込みはすごいけれど、どうしても序盤・中盤は荒削りという人が多いんですよね。
対局を重ねることによって、段々、序盤・中盤の角が取れてバランスが整っていき、終盤の読みの鋭さとかを主張できるようになって活躍するというステップを踏むので、20代前半や後半から本格的に活躍し始める人が多いのですが、藤井さんの場合は最初から終盤は強いし、序盤・中盤はそんなに隙がないというか。
完成度の高さはあの年齢ではなかなかないと思いますね」
――藤井四段の解説も何度かなさっていると思いますが、プロになってからさらに成長しているなという印象は受けますか?
「どうなんでしょう。
僕が最初に解説したAbemaTVさんでの羽生さんと藤井さんの対局を見たときからすでに強かったので、そこからどれくらい強くなっているのか、ちょっとわからないです(苦笑)。
力を顕在化させているだけかもしれませんし、元が強かっただけに。
そういう意味では、羽生さんが中学生のときよりも、全体的な完成度でいえば上回っているかもしれないですね。
デビュー当時の羽生さんもすごく終盤が鋭くて強かったのですが、さっき言ったみたいに最初は若者らしいというか、序盤は荒削りだったんですよ。
ただ、藤井さんの場合は序盤もそんなに悪くならない。今回、僕とやった将棋では、序盤で藤井さんがちょっとポイントを損ねたかなという瞬間もあったのですけれど、それを決定的にしないんです。
自分の力が出せる展開に持っていける、オトナっぽいところがあると思いますね。将棋ってその人の個性が盤面に出るのが魅力だと思うのですが、やっぱり藤井さんの場合もあの通り落ち着いていらっしゃるじゃないですか。
それが将棋にも出ているのかなと思いますよね」
――これから長いお付き合いになりそうですね?
「そうですよね。いやあ、長い付き合いになるために僕もちゃんと頑張らないと!」
――これから対局を重ねていくと、また見えてくることがきっといろいろあるのでしょうね?
「ほんとにそうだと思います。今回の結果は残念でしたけれど、負けてこういうことを言う人は少ないのかもしれませんが、実際指していて楽しい、充実した時間でもありました。
読みがある程度、噛み合うところも多かったですし。ラリーというか、盤上のいい場所で続けられたかなという気がしますね」
――将棋で対話するということなのでしょうか。
「そうですね。そういう感じになったかなと思う局面もあったので、これからまた楽しみですね。
まあ、勝つのは大変ですが(笑)。それはどの勝負にも言えることなので、はい、頑張ります」